第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
サスケ
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の尾と化してゆらゆらと揺れる。巨大な砂色の尾の出現にサスケは目を見開いた。
――一体なんなんだこいつ! 次から次へと……!
我愛羅が尾と右腕で先ほどまで横たわっていた大樹を掴み、極限まで腕と尾を伸ばすと、まるでパチンコのように自分を前に向かって発射させた。咄嗟に写輪眼を使用し、飛び上がってそれを回避する。木片が右腕に突き刺さった。痛い。
――動きを読めなきゃ、かわせやしねえ……! この眼がなきゃとっくに死んでるぜっ!
我愛羅が一本の木を右腕で掴み、ブランコか何かでもするかのように前後に体を揺すり、そして勢いをつけて飛び出した。咄嗟に印を組み、己の得意としている術を放つ。
「火遁・豪火球の術!」
吹かれた火の塊の中で、我愛羅が砂の腕を使って丸まった。炎が消えるのと同時に砂の腕を攻撃ように戻し、我愛羅は更にこちらへと向かってくる。火力が高いだけでなく防御力も兼ねそろえた砂色の体、簡単には打ち破れない。そう――千鳥じゃなければ。千鳥じゃ、なきゃ。
「死ねぇえええッ!!」
向かってくるその姿を写輪眼で見据えて、サスケは身構える。防御するも虚しく、サスケは勢いよくぶっ飛ばされた。何本もの木々をつき抜け、へし折り、四本ほど折り、大樹に人型の凹みを作り上げたところでようやくサスケは止まった。痛みに頭がくらくらする。
千鳥。千鳥じゃなきゃ倒せない。なのに千鳥は一日に二回しか使えない。写輪眼と他の術を同時に使用するということは体内のチャクラを一気に爆発させ、使い切ってしまうに等しい。だからカカシでさえ雷切は一日に四回しか使えない。
「お前は……甘い。憎しみが弱いからだ!」
我愛羅の言葉が。ずくんずくんと高鳴る心臓と呼応するように耳を突き刺す。
「憎しみの力は殺意の力、殺意の力は復讐の力!」
イタチの顔が脳裏に映る。あの横顔。最後に見たあの顔。
「お前の憎しみは、俺より弱い!」
お前にこの意味がわかるか。問いかけてくる声に、ほぼ反射でサスケは怒鳴っていた。
「黙れッ!!」
「――お前は俺より弱い!」
だめだ。だめだだめだだめだ。
もしここで負けていたら。こんな狂人なんかに負けていたら。あいつに、イタチに届くわけがない。あいつを殺せるわけがない。思い出せ。思い出せ。あの憎しみを。イタチのことを。
サスケは憎しみの炎に息を吹きかけた。それは豪火球の術を発動するよりもずっと簡単に、ずっと激しく燃え上がった。
「あいつは自分を殺させるための、復讐者として俺を選んだんだ。――俺は復讐者だ!!」
千の鳥の鳴き声が、再びサスケの掌の中を踊る。唾液を散らしながら飛んできた我愛羅を迎え撃つ。絶えず鳴き声をあげていた掌の雷の勢いが一瞬だけ弱まる。木が爆発し、血が飛ぶ。同時
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