第三章
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「まして彼を見ていたらわかるでしょ」
「相当神経質そうですね」
「しかも欝が入ってるわね」
「それもかなり」
「受験のストレスかどうか知らないけれど」
「病んでる感じですね」
「そうした子なら特によ」
それこそというのだ。
「ああしてね」
「事件を起こすこともあるんですね」
「ええ、後はあの子の精神鑑定だけれど」
「罪を認めてますけれどね」
「正直、精神鑑定で無罪になっても」
現代ではままにしてあることだ、精神を重度に患っている者が起こした事件はその状況を鑑みて情状んが酌量されるのだ。
「もう普通の生活は送れないわ」
「人を殺してますからね」
「明らかにね」
「下らない理由で人が殺されて」
「そして殺した人間も人生が終わったわ」
「そうなったんですね」
「ええ、そうしたことを思うと」
恵はコーヒーを飲みつつ話した。
「シャープペンシルも罪ね」
「全くですね、こんなものでも」
ここでだ、涼介は。
自分の席のシャープペンシル、自分が普段使っているそれを見た。
そのうえでだ、こう恵に話した。
「殺人事件の理由になるんですね」
「そうね、何でもなさそうなものがね」
「そうしたことになる」
「世の中そのこともわからないわね」
「全くですよ」
涼介は自分自身にもコーヒーを淹れていた、そして。
そのコーヒーを飲みつつ今回の事件のことを自分だけでも考えた、その考えは彼が今飲んでいるコーヒーよりも苦いものだった。
シャーペン殺人 完
2016・3・15
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