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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十三話 シャンタウ星域の会戦 (その5)
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く艦隊を別けてくれたと思う。それでも第十二艦隊は手酷い損害を受けている。半数近くがあの撤退行動で失われたはずだ。
第十二艦隊だけではない、第五、第十、第十三もあの撤退行動でかなりの損害を被った。同盟軍の左翼が抵抗している間に撤退しなければならない。彼らが殲滅、あるいは降伏すれば帝国軍は余った兵力をこちらに振り向けてくるだろう。
上手く撤退するではなく、早く撤退するに徹した撤退行動。損害は増えたがそれでも何とか敵を振り切って撤退できた。
逃げる、ただひたすら逃げる。生き延びるために逃げる。この間、断続的に敵との接触を受けたが、勝つ事よりも逃げ延びる事を考えながらの戦闘になった。つい二時間前にも接触を受け厳しい追撃を受けたばかりだ。
積極的な反撃が許されない撤退、徒労感と疲労だけが蓄積していく。タンクベッド睡眠も取ったが少しも精神はリフレッシュされない。これほど報われない戦いがあるのだろうか。
第五、第十、第十二、第十三の四個艦隊、殿は第十三艦隊が務めたが殿など名前だけのものだ。敵との接触を受ければ、第十三艦隊が先ず敵と応戦し、残り三個艦隊が引き返して敵の側面にまわる動きをする。
四個艦隊全てで立ち向かう。そして追い払う。そのほうが早く戦闘を終わらせ撤退を再開できる。その繰り返しだ。
戦闘で損傷を受け推力が落ちた艦、エンジンの不調を訴えた艦は直ちに廃棄させ、乗組員は他の艦に移乗させた。第十三艦隊だけではない、他の艦隊でも同じ事をしているだろう。
一度の接触で数百隻程度の艦を失い、それと同数近くの艦を廃棄している。既に第十三艦隊は艦艇数一万隻を割っている。
艦を棄てるのは乗組員にとっては辛いだろう。特に艦長にとっては断腸の思いのはずだ。だが、生き残るためには艦隊の速度を落とす事は出来ない。取り残されれば死ぬか、捕虜になる運命が待っているのだ。
どれほど苦痛であろうとも生き延びなければならない。私達を逃がしてくれたモートン提督に応えるためにも。
もう直ぐヴィーレンシュタイン星域につく。イゼルローン要塞までにはあと二十日以上かかるだろう。どれだけの人間が生きて帰れるのか……。
「前方に艦影発見、補給部隊です」
オペレータの声が艦橋に響く。補給部隊? どういうことだ。何故こんなところに補給部隊が居るのだ?
「馬鹿な、何故こんなところに補給部隊が居る? 直ぐ傍まで敵が来ているのだぞ」
「総司令部は一体何を考えているのか」
ムライ参謀長とラップが信じられないといった口調で言葉を出す。確かに信じられない。だが先行した部隊はどうしたのだ? 補給部隊を置き去りにしたのか?
「閣下、補給部隊の護衛艦より通信が入っています」
「護衛艦から?」
不思議に思う間も無く、スクリーンに壮年
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