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忘れ形見の孫娘たち
12.麻耶さんのワッシャワッシャ
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えたりした。

「和之さん。この大淀、久しぶりに任務娘としての腕前を存分に発揮させていただきました」
「いやいや、こちらこそ大淀さんがいて助かりました」
「本当にありがとうございました。……鈴谷もお疲れ様」
「ありがと! 大淀さんもお疲れ様!!」

 かくして鈴谷たちのための爺様の告別式“グッバイひこざえもんプロジェクト”は大成功のうちに夕方に幕を閉じた。キャンプ場の片付けも終わり、皆それぞれの帰る場所へと引き返す。僕たちは自分の家へ。そして摩耶さんたちは摩耶さんたちの帰る場所へと、バスに乗って引き返していった。

 うちに戻った僕はそのまま自分の部屋に戻った。居間では疲れきった父ちゃんがぐったりと寝転がり、母ちゃんはゆっくりとお茶を入れてくつろいでいるようだ。居間からはテレビの音と父ちゃんのいびきと、母ちゃんがお茶を入れるために台所でごそごそやっている音が聞き取れる。爺様と婆様の遺影がある和室も、これでしばらくはお役御免だ。明日からはあの傍若無人な爺様も静かに眠れることだろう。

「ふぃー……おつかれー……」

 自分の部屋の畳の床にぐったりと寝転がり、天井を見上げて寝転がる。ヤバい。まぶたが重い。……今寝てしまったら妙な時間に目が覚めて眠れなくなりそうだ……でもヤバい……

「うん……おつか……かず……ゆ……」

 なぜか大淀さんたちとは一緒に帰らずにこっちに来た鈴谷は、僕にくっついて部屋まで来て、僕よりも先に『うりゃー』だか『おりゃー』だか言いながら寝転がっていた。僕に付き合って鈴谷もほぼ徹夜で今までずっと起きてた上にキャンプ場で大はしゃぎだったんだからそら眠いだろう……『うりゃー』にほとんど元気がなかったもんな……。

「ヤバ……ねむ……」
「うん……ヤバい……」

 あかん。まぶたが重い。重症だ。鈴谷の声がこんなに耳に心地いいとは……。

「うう……」
「んー……べしっ……べ……しっ……」

 こら鈴谷……べしべし言いながら僕の足を叩くな……僕の腹を枕にするのはやめろ……あ、でも鈴谷の頭ちょっと心地いいかも……

「いいじゃん……枕ないんだ……し……」
「そっか……なら……仕方な……クカー……」
「スー……スー……」



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