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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第三十六話その2 アンネローゼ様誘拐を阻止します。 
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もの。「それについては私はAから聞いたのですが」とBは言う。そのAは「いや、私はCから聞きましたが」と言い、Cに話しかけると「私はBから聞いたのですがねぇ」という答えが返ってくる始末。堂々巡りを繰り返す塩梅になることはよくわかっているわ。

 となれば、噂の出どころを特定するのは難しい。宮廷が発生源なのは自明の理だけれど。だったら、アンネローゼの動向を逐一見守り、敵が動き出すのを待つしかないというわけね。

 フィオーナ、見ていてね。前世における監察官の実績をもってアンネローゼを守りきるから。



帝都オーディン ノイエ・サンスーシ――。
 アンネローゼ・フォン・グリューネワルト伯爵夫人はめったに外出をしない。皇帝の寵姫として常日頃側にいなくてはならないということももちろんであるが、彼女自身「世捨て人」のように宮廷の社交界にもパーティーにも極力顔を出さなかったのである。むろん国政についての口出しも一切しない。
 ところが、この生活が仇になった。アンネローゼが表にあまり出ないのは、人目を避けて愛人と忍んでいるという噂が広まったのである。
 これに対して宮廷の主要貴族は激怒した。アンネローゼ擁護派も反アンネローゼ派閥もである。アンネローゼ擁護派は「誰だ?!そのような不埒な話を出すのは!?」と怒り、反アンネローゼ派閥は「やはりそういう女狐であったか!?」とののしった。
 フリードリヒ4世は表向き、この噂に対して何も処置しなかったが、リヒテンラーデ侯爵がある日国事に関する決済を受けに来た際に、皇帝陛下に指摘した。

「近頃帝都に置いてよからぬうわさが流れております事、陛下はご存知でいらっしゃいますか?」
「ほう?どのような噂かの?」
「このようなことを口にのぼせるのもはばかりある事ながら、あえて申し上げますれば、グリューネワルト伯爵夫人が、よからぬ者と忍びあっているとのことにございます」

 フリードリヒ4世は軽い笑い声を立てた。

「はっはっは。それはそれは、確かによからぬうわさで有ろうな」
「陛下」

 思わず険のある視線を送ったリヒテンラーデ侯爵に、

「よいよい、あれの気質は余は充分に理解しておる。そのようなことをする者ではない。大方あれに嫉妬する者が流した噂で有ろう」
「それだけで済めばよいのですが」

 リヒテンラーデ侯爵の口ぶりはさすがのフリードリヒ4世をして、おやと思わせる響きがあった。

「国務尚書にはなにか不審事があるのかの?」
「口にのぼせるのも恐れ多き事ですが、この噂に乗じて何者かが宮廷内に混乱の火種を持ち込むやもしれませぬ。グリューネワルト伯爵夫人に危害を加えようとする者がいてもおかしくありますまい。ご用心あってしかるべきではないかと愚考いたす所存です」
「そうじゃの。卿の言
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