暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第235話 剣が届く先
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て 今繰り広げらている攻撃方法には、不可解な事もある。

 疾空(あれ)は、体術スキル(・・・)だから。

 スキルと言う名を冠している技は併用する事は基本的に不可だ。
 スキルを発動する際は、ある程度のイメージ力と言うものが必要になってくる。嘗て、キリトがクラインに、ソードスキルの使用の仕方を説明する際に、感覚や擬音で説明をした様に、従来のゲームでいうコマンド入力が、脳内で行われて初めて使用する事が出来るのだ。

 つまり、出来ない事は無い。……が、殆ど同時に2つの事を強く、更には正確にイメージし、トリガーを引く事は非常に難しい。感情の僅かな機微でさえ、拾ってのけるこの仮想空間においては、雑念を全く持たず、正確に思い描くなど、難しい事極まれりだ。
 それが、ソードスキルとの併用を考えたら、尚更だった。

「っ!!」
「くぅっっ!!」

 ランは、瞬時に接近し 剣を振るってきたリュウキの剣を、何とか受け止める事が出来たのだが――、受け止めた瞬間また、消えたのだ。

「!!」

 今度ははっきりと見えた。
 超接近し、攻撃をした瞬間 また 移動をした。目にも止まらぬ速度で、反対側に移動したのだ。移動……と言うより、反動をつける為に、速度を更に上げる為の所作だろう。
 そして リュウキは 再び宙を蹴り、接近し斬りつける。そしてその反動を利用し離れ、再び戻ってくる――その繰り返し。

 空中にいるランを中心に、縦横無尽に空中疾走をし、攻撃を繰り返す。
 動く事も、回避する事も叶わない。軈て、剣に宿っているソードスキル発動のエフェクトが、リュウキ自身の動きについていけていないのか……、リュウキ自身が光になったかの様な錯覚に見舞われる。光の奔流に呑まれるラン。

「(こ、これ……が……、彼の――オリジナル……)」

 ランは、光速で迫る攻撃を、2度、3度と防ぐ。それだけでも十分過ぎる程驚嘆だ。寧ろ、不安定な体勢のままで、防いでいるランの方を褒めるべきだとも思える。

 だが、1撃目より2撃目、2撃目より3撃目、と反動を全てに利用している為、どんどん切れ味が、威力が増している様な攻撃。ラン自身のオリジナル・ソードスキルで迎え撃つ、反撃する、それらの隙はまるで無い。

 軈て、ランの反応速度を上回る攻撃が来た為……或いは集中力が切れかけたのか、ランは対応しきれなくなった。

「あっ!!」

 防ぎきる事が出来ず、肩口に一撃を入れられてしまい、残された少ないHPゲージが削られる。もう、1割を切ってしまった。

 この時点で合計9連撃。

 そして、一撃を受けてしまった事で、綱渡り状態だったランは、一気に崩れてしまった。
 
「……っ……!?(これ……が この世界の……頂き、……一番の……)」
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