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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第235話 剣が届く先
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相手の動きを察知する様に、動きを予測する様に、アバターの中で流れるデジタル信号の流れを読み取る事が出来る。
――後ろにも眼がついている。
嘗て、キリトはそう思っていた。いや、そう思えてならなかったと言った方が良いだろう。それは、何もない目の前にただ広がっている空間にも流れ出るデジタル信号、それらが彼に知らせたのだ。敵の息遣いから、
超感覚
(
ハイパーセンス
)
と読んでいた僅かな機微も視逃さなかったのだ。
その眼の力は、
銃の世界
(
GGO
)
でも遺憾なく発揮していた。
流れ、世界の流れが判るからこそ、無数に討ち放たれる銃弾の動きも当然判る。――あの世界の闇も、その眼で捕らえる事が出来ていたんだ。
隣で共に戦ったからこそ、シノンは 理解する事が出来た。キリトが言う様に、判った。……それと同時に、あの
剣聖
(
ラン
)
の力にも、脱帽する思いも改めてだった。
彼女も同じだと思った。……そう、特殊な環境で育った故に、リュウキは身に着ける事が出来た。つまり――彼女も
そういう事
(
・・・・・
)
、なのだろう、と。
そして、時は再び元に戻る。
リュウキの超接近にランが迎え撃つ構え。コンマ数秒レベルの超接近戦である。
だが、ランには違和感があった。それは、この僅かな時の狭間で感じた違和感だった。
「(ソードスキルは、強力。……だけど、その分、通常よりも大きな隙も当然生まれる……筈なのに?)」
ソードスキルを決める理想的なタイミングは、たった1つしかない。
それは、前の戦い、アスナ・レイナ vs ラン・ユウキとの一戦で、ユウキが披露したタイミング、相手のソードスキルを見切り、相手が硬直した瞬間、無防備な所に叩き込むカウンター、それが理想的だ。無防備な体に全て命中させるから。
無論、相手はMobの様なアルゴリズムで動く訳ではなく、ソードスキル自体の威力と速度は
通常技
(
デフォルト
)
とは比べ物にならない為、難易度がかなり高い。……狙って体現できる者は少ない。
「(だけど、ユウが出来る事を―――目の前の彼が出来ないとは到底思えない)」
ランが脳裏に描いたのはそれだった。
つまり、リュウキはカウンターを狙っている、と判断したのだ。防御に移す為の速度、攻撃への初速、それらが遅れる可能性の高い逆手の構えからも、それは連想出来た。
だが、蓋を開けてみたら、全くの別物――想定外の攻撃だった。
初撃を受けた。その瞬間から、時が動き出す。
フェイントや巧みな太刀筋などではない。そう、言うならば渾身の一撃。
リュウキは、ただただ全力で、本当に全力で、振り抜いてきたのだ。小細工の1つなく。
「くぁ……!!(な、なに……!? こ、このちか……らっ!!)」
動き
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