特別篇その1 王子の初陣
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…」
マクシミリアンは少し黙考に入ると
「……ち」
と舌打ちをした。
「ラザールいう事はもっともだ。使者に、『武装解除して屋敷から退去するに』と伝えろ」
「御意」
「ダグーは歩兵隊の何人かを同行させ、屋敷の接収しろ。『置き土産』の可能性もあるから、グリアルモントら工兵隊も連れて行け」
「御意」
「ラザール、トリスタニアに鷹便を送り、ブラバンド公爵が降伏した事を伝えろ」
「御意」
「重ねて二つ、降伏したブラバンド公爵一家の受け入れと、ブラバンド公爵領を守護する部隊を至急まわして欲しいとも伝えてくれ」
「御意にございます」
「ジェミニ兄弟、ブラバンド公が自領の民衆を殺そうとし、マクシミリアン軍に阻止された事を周辺の村々に宣伝し、反乱軍に大儀が無い事を大いに伝えろ」
『御意』
かくしてブラバンド公爵は武装解除し降伏は受け入れられた。
……
数時間後、トリスタニアから引継ぎの部隊が到着し、ブラバンド公爵一家もトリスタニアに移送される事になった。
ブラバンド公爵は、見た目は四十過ぎの痩せ型の男で、逃げ出す事ができないように、魔法封じの手錠をはめられ、魔法封じの特殊な牢が付けられた馬車に入れられることになった。
当然、杖を奪われているが、用心に越しての事だ。
牢に入れられる際に、マクシミリアンの姿を見つけると、形振り構わず助命を乞うてきた。
「殿下、でんかぁ〜! どうかお願いします。どうか命だけはお助け下さい。何でしたら我が娘と妻を差し上げます。どうか、どうか命だけはぁ〜〜〜〜〜〜!!」
すぐ後ろで入牢の順番待ちをしていた妻と娘は、夫と父の醜態に当然ショックを受けていた。
「あなた……」
「お父様……」
公爵家に嫁ぐぐらいだから、妻は美しく、娘も10歳前後と幼いながらも将来が楽しみな容姿だった。
マクシミリアンはブラバンド公爵を汚物を見る様に見て、サッと手を振り払った。
『さっさと連れて行け』というジェスチャーだ。
ブラバンド公爵一家は牢付きの馬車に乗せられ、トリスタニアへと去った。
「胸糞悪りぃ」
「は、何か仰いましたか?」
「いや、なんでもない。直ちに出発すると全部隊に伝えてくれ」
「ウィ、殿下」
セバスチャンは、マクシミリアンからの命令をダグーらに伝える為に離れた。
「あの母子、どうなるんだろ……」
ブラバンド公爵の改易は確定だが、あの美しい母と娘があの後どういう人生を歩むか、少し心配になった。
「だからと言って囲うわけにも行かないし……ま、死ぬことは無いだろうから、彼女達に始祖ブリミルのご加護が在ることを祈ろうかね」
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