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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第54話
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「あ……」

「ガイさんを含めたチームは教団の信者たちを無力化しながらロッジを制圧していきました。抵抗は激しく、制圧された途端、自決する者がほとんどだったそうです。そうした屍を踏み越えながら”儀式の間”にたどり着いて……ガイさんは、ただ一人の生き残った子供を発見しました。」

「…………………………」

「ガイさんに保護された時……わたしは衰弱しきっていました。そしてこの病院に連れてこられ、数ヵ月のあいだ療養して………そこから先は以前、ロイドさんに話したとおりです。」

「……そうか………」

「……ティオちゃん………」

「…………(ひょっとしたらその時レンもまだ入院していたかもしれないわね……)」

ティオの説明を聞いたロイド達は重々しい雰囲気を纏った。



「………皮肉なものですね。あれだけお世話になって感謝していた人だったのに………3年前、ガイさんが亡くなった事を聞かされた時、わたしは余り哀しくなかったんです。まるで、手に入れた力と引き換えに人間らしい感情を失ったような………そんな不思議な感慨すらありました。」

「ティオ………」

「………………………………」

「………多分わたしは聞きたかったんだと思います。眩しいくらいに前向きで力強かったあの人に……わたしのような”欠けた存在”がどう生きたらいいのかを……でも結局、その答えは聞けず、エプスタイン財団に引き取られて……そして支援課に来て、皆さんと一緒に暮らしていて………やっぱり………今でもよくわからないんです。どう、生きたらいいのか………どうして……わたしが生きているのか。」

「………ティオちゃん……!」

辛そうな表情で語るティオを見たエリィはティオに近づいて優しく抱きしめた。



「………あ………」

「いいじゃない……!わからなくったって………!そんなのは私達だってあなたと同じなんだから………!」

「……え………」

「………なぜ生きてるのか、どう生きればいいのか………そんなのがわかってる人間なんてそうそういるもんじゃないさ。俺も、エリィも、ランディも、レンも。誰だって同じさ。」

「ロイドお兄さんの言う通りね。さすがのレンでも自分がどう生きるかなんて考えた事もないわ。」

「ハハ、俺なんざ特に、自分の道を見失った口だが………それでもティオすけ。お前、真面目すぎるんだよ。そんな難しい問題を急いで解いてどうするんだ?」

「……で、でも………」

「それでも気になるなら……答えを探し続ければいい。ただ焦る必要はないし、一人で探す必要だってないんだ。俺達が一緒に探すからさ。」

「………………ぁ……………」

「もちろん私もよ………レンちゃんやランディだって課長だってキーアちゃん
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