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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第54話
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そしてセシルは部屋を出て行った。



「………ティオ………もう少し早く気付けば………」

「考えてみれば、ヨアヒム先生の話を聞いている最中くらいから様子がおかしかったものね………それも確か……」

「悪魔を崇拝する連中が造ったっていう薬の話か………」

「今までの経緯を思い返したらどう考えても何か関係があるのでしょうね。」

「―――いいですよ。何を聞いてくれても………」

セシルが去った後ロイド達がそれぞれ考え込んだその時ティオが目を覚ました。

「ティオ……起きたのか。」

「よかった……」

「ったく………心配かけやがって。」

「うふふ、自己管理はしっかりしているティオがレン達に心配をかけるなんて珍しいわね。」

目を覚ましたティオを見たロイド達が安堵の表情をしたその時、ティオが起き上がった。



「あまり……気を遣わないで下さい。薬物捜査に携わる人間として皆さんは聞く必要がある………わたしの知っている情報を。」

「………あのな、ティオ。俺達がティオの気の進まない話をわざわざ聞こうとすると思うのか?」

「え……」

ロイドの言葉を聞いたティオは呆け

「もちろん捜査も大事だけどそれとこれとは話が全く別よ。私達にとって、あなたは同じ仕事に携わる同僚だけど……それ以前に、何よりも代えがたい仲間だと思っている。」

「……ぁ……………」

「他人には秘めておきたいそいつならではの事情はあるさ。ま、俺の過去についてはちょいとばかりバレちまったが………ティオすけ、お前がそれを知られたくねぇってんなら……俺らは全力でお前に協力するさ………」

「ま、ティオはレンが信用している数少ない”仲間”の一人なのだから、そのくらいの事は協力してあげるわ。」

「エリィさん……ランディさん………レンさん………」

エリィとランディ、レンの自分を気遣う言葉を聞くと涙ぐみ

「………そういう事だ。でも、もしティオが俺達に話したいんだったら……話すことで少しでも気持ちを軽くできるんだったら……だったらその重荷はぜひ受け持たせて欲しい。」

「…………ロイドさん………………………」

さらにロイドの言葉を聞くと涙を流して黙り込んだ。



「ふふ………よくそんなに恥ずかしい台詞を言えますね。ロイドさんだけでなく、エリィさんもランディさんも……それにレンさんも………皆さん、ロイドさんに影響されてるんじゃないですか?」

そして涙をぬぐって気を取り直した後苦笑し、ジト目でエリィとランディ、レンを見回した。

「ハハ、そうかもな。」

「うーん、確かに否定はできないわね。」

「うふふ、レンの場合はロイドお兄さんだけでなくエステルの影響もあると思
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