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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第6話『例え恐れられようとも』
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街を全方位から進軍してきている。
 今でこそこの東の門はメイリア達が抑えているが、他の門から侵入される確率も限りなく高い。

 ──そして、思考の隙を突くように、一匹の魔族が防衛戦を突破する。

「……っ!スィーラッ!追って!」

「……ぅ、……!」

 こくりと頷き、銀の少女が飛び出す。侵入した魔族は速く、すでにその後ろ姿は遠い。スィーラもまた、その怪力を以って後を追う。が、複雑な街の構造が仇となったか、その姿は闇に紛れて消えてしまう。
 慌てて街の上空に跳躍し、目視出来る限りでその姿を探す。極限まで目を凝らし、遥か下の街を見渡す。──見えない。何処だ。何処に消えた。
 路地には……居ない。通った痕跡もなし。屋根……勿論無し。仮に通っていれば確実に気付く。ならば……下水。

 必死に空気を漕いで急降下し、目に付いたマンホールを突き破って下水道に出る。強引に破壊された金属の破壊音が轟き、自分でやって耳鳴りを起こしそうになる。
  首を振って意識を集中させ、魔族の気配を探す。パシャリパシャリと音を立てながら水を渡り、臭う悪臭を無視して走り続ける。直感に従い駆け、街の中心へと向かっていく。

「ゥ"ル……ァァ"ァ……!」

「……ぃ、……ぁ……!」

 −−見つけた。

 スィーラに気付いた魔族が上方に跳ね上がり、真上のマンホールを突き破って下水道から脱出する。その後を追い、マンホールから地上に戻り、辺りを見回す。目に入ったそこは、人々が集まるこの街最後の安全圏、中央広場。
 それもたった今、崩れ去った。

「……ま、ぞく……っ!」

「嫌……!死にたくないっ!死にたくないっ!死にたくないの……っ!」

「ぁ、あぁ……っ!母ちゃん……っ!父ちゃん……っ!ごめん……っ」

 飛び出した亜人の魔族は直ぐに広場に着地し、近くで体勢を崩した子供にそのギョロリとした眼を向けた。
 幼き少年は固まって動けない。その眼には涙が浮かび、誰かへ助けを乞おうと必死に声を上げる。目をギュッと握り込み、次の瞬間に来るのであろう『死』を覚悟しようとしていた。

「……っ!」

 スィーラが、それを許さない。
 少年を抱き、振り抜かれた巨腕が少女の背を打つ。その力は先ほどのオーガとは比べ物にならない程のもので、この魔族は軍内でも余程の上位種であると本能的に理解した。
 痛みはない。が、スィーラは少年を抱いたまま数メートル、数十メートルと吹き飛ばされる。なんとか少年が傷付かぬように頭だけでも守り、自分の背をクッションに壁に衝突した衝撃を抑える。

 建造物は崩壊し、木材やレンガが二人に降り注ぐ。それもまた、少年に当てるわけにはいかなかった。
 少年を庇い、スィーラがその全てを受ける。何度も鉄塊が頭を強く打ち、不
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