暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
14話
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鬼一さんの右手が僅かに震えているところから察するに、よほど恥ずかしいみたいだ。

「……お願いします」

 鬼一さんの声に応えるよう何度か続くシャッター音。

「うん、オッケー! じゃあこの写真は後で2人に渡すね」

 そう言ってすぐに離れ、織斑さんたちの方へ戻っていく。
 鬼一さんからゆっくりと手を離されてしまう。その離れていく右手が少し名残惜しく感じた。鬼一さんは右手を見たあと、手袋を付けることはせずにポケットに手を入れる。そしてそのまま食堂の外へと歩いていく。
 わたくしもそれに続いて鬼一さんと一緒に歩く。鬼一さんは何も話さない。そしてわたくしも特に喋らない。だけど居心地は決して悪くなく、穏やかな空気が流れている。なぜかとても嬉しかった。

 後日、渡されたその写真はわたくしの部屋、机の中に大切に保管されたのだった。

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