第五章
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「ああした服です」
「貫頭衣ですね」
「それなんですね」
「そうです、あれが一番涼しいんですよ」
貫頭衣こそがというのだ。
「ですからあの娘も着てます」
「そうですか」
「それがジブチの服ですね」
「そうです、あの服もアクセサリーも市場に売ってますから」
さりげなくだ、ガイドは参加者達に笑って言った。
「よかったらどうぞ」
「ガイドさん商売上手ですね」
「抜け目ないですね」
「ははは、こうした仕事をしてますと」
ガイドのそれをというのだ、二人に笑って返す。
「自然と身に着きます」
「そうしたものですか」
「そのお仕事してますと」
「そうです、ですからよかったら」
さらに言うガイドだった、さらりとした態度のままで。
「買って下さいね」
「ええ、じゃあ」
「そうさせてもらいます」
二人はそんな商売上手というか街ひいては祖国にお金を落とさせることに熱心なガイドに感服しつつも苦笑いを浮かべた、そのうえで幸福に囲まれている二人も見た。
そしてその帰りにだ、市場を引き返すところで。
服屋でブブ、そしてその隣の店の金や銀のアクセサリー達それに鳥の羽根を見てだ、車田は秋本に言った。
「買いますか?」
「ブブをか」
「そうしますか?」
「そうだな、娘に買ってやるか」
秋本はそのブブを見つつ微笑んで言った。
「そうしてやるか」
「じゃあ俺も娘いますし」
車田も笑って言う。
「買ってやりますか」
「御前の娘さんまだ赤ちゃんだろ」
「大人になった時にって思いまして」
「今から買うのか」
「そうします」
「気が早いな、けれどな」
秋本はここで自分のことも言った。
「考えてみれば俺もか」
「先輩の娘さんも三歳ですよね」
「かなり早いか」
「服のサイズ合わないですよ」
「じゃああいつが大人になった時にな」
「その時にあげる為に」
「今から買うか」
こう言うのだった。
「そうしておくか」
「じゃあそうしましょう」
「ああ、今からな」
「それで日本に帰ったら」
仕事を終えてそのうえでだ。
「ブブとアクセサリーをですね」
「大人になったらって言ってな」
「やりますか」
「そうするか」
二人で笑顔で言う、そして二人は実際にブブや様々なアクセサリーを自分達のそれぞれの娘の為に買ってクウェートに向かいそこで石油を貰い日本に運び娘達にプレゼントをした。娘達は今はまだわかっていなかったがやがてはと思っていた。
そしてだ、車田は次の航海の時に秋本にこう言った。
「実は女房にせがまれました」
「ブブが欲しいってか」
「はい、じゃあまたジブチに寄ったらですね」
「俺も言われた、自分も欲しいってな」
「奥さんにですね」
「ああ、だからな」
「奥さんに
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