暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫無双〜2人の御使い〜
第1話
[4/5]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
目を覚ましたらしい。 

 トロンとした寝ぼけ眼で左右をキョロキョロし、暢介を目が合うと、目が覚めたのか。
 凄い勢いで立ちあがると顔を真っ赤にして弁明を始めた。

 どうやら、眠っている所を見られたのが恥ずかしかった様だ。

 「す、すいません!」

 「い、いや……別に謝らなくても……」

 そう言っている暢介自身も現状を理解できていない。

 何故自分は、見覚えのない場所にいるのか。
 何故自分は、スーツ姿でいるのか、記憶の中での自分の最後の服装は寝間着だったはずだ。

 もしかしたら休みの間の記憶が抜けてるだけで、実際は休み明けで外回り中に倒れたとか。
 ……いやいや、確かに、たまに記憶が飛んでる事はあっても土曜と日曜の2日間の記憶が抜けるという経験は無い。

 「あのさ……ここってどこなのかな?」

 場所確認をしたい暢介は、女性に問いかける。
 女性は顔を真っ赤にしたままであったが答える。

 「ここは河内郡温県孝敬里ですよ」

 「え?」

 聞いた事の無い地名に暢介は混乱した。
 少なくとも自分の住んでいる場所、務めている場所の近辺にその様な地名は無い。

 しかし……

 (会話が通じているって事は、日本なんだよな……?)

 女性との会話が成立している以上は、互いに日本語で話しているという事のはずである。

 「……あっ!」

 突然、女性が大きな声を出したので暢介はビクッと身体を震わせた。

 「な、何かな?」

 「あなたが目を覚ましたら、会っていただきたい人がいまして……起きれますか?」

 「あぁ、大丈夫だよ」

 そういって寝台から降りる暢介。
 並んで立ってみて分かった事だが、女性の身長は暢介の肩ほどだった。

 「それで、会っていただきたい人ってのは?」

 「僕の母です」

 その言葉に暢介は頷く。

 「ではいきましょうか」

 そう言い、女性は歩き出した。
 暢介は女性の後ろを歩く。

 部屋を出て、少し歩いた所で女性は何かを思い出し、歩を止めて暢介の方を見る。

 「そう言えば、まだ名前を言っていませんでしたね」

 「あぁ……そう言えば、そうだね」

 よく考えると、目覚めてから一度も名前を聞いていなかった。
 いつまでも知らないままでいる訳にもいかないだろう。

 「じゃあ、俺から言っておこうかな。俺は鷺島暢介」

 「鷺島暢介……鷺が姓で島が名で暢介が字ですか?」

 女性の言葉に暢介は目が点になる。

 姓名は分かるのだが、字という存在が分からなかった。

 「いや。姓は鷺島で暢介が名だよ。字ってのは無いんだけど」

 「字が無い? 珍しいですね」

[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ