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第一章
花占い
テレサ=エレモンドはこの時真剣に悩んでいた。何に悩んでいるかというと。
学校の友人達にだ。ついこう漏らしたこと、そのことについてだ。
「言いたいけれど」
「彼に言えないのね」
「告白は」
「告白ってあれよね」
困った顔で言うテレサだった。溜息と共にだ。
「どうしても。勇気がいるわよね」
「そうね。けれどあれよ」
「言わないと何もはじまらないわよ」
友人達はその困った顔の彼女に告げる。
「付き合うとかそういうことはね」
「そこからだから」
「わかってるのよ」
それはだとだ。テレサも返す。
「けれど。それでもね」
「テレサならいけるし」
「そうよね。彼に告白してもね」
「絶対に大丈夫よ」
周囲は彼女の外見を見て話す。見れば奇麗な波を描いている黒髪を後ろで束ねはっきりとした二重の黒い目の睫毛は長い。
唇は紅で薄く大きい。そこから見える歯は白い。
小柄でありそれが余計に可愛さを見せている。その彼女を見てだ。
周囲はだ。こう言うのだった。
「可愛いから」
「声もいいしね」
「だから告白したら絶対にいけるわよ」
「確実にね」
「それじゃあ」
それならだとだ。テレサはだ。
告白しようと思った。しかしだった。
彼女はすぐにだ。如何にも気弱そうな顔になってこう言うのだった。
「けれど。やっぱり」
「告白するのが怖い?」
「彼に」
「とてもね」
どうしてもだというのだった。その顔は伏せられている。
「失敗したらそえこそ」
「大丈夫、成功すると思えばいいのよ」
「絶対にね」
「一歩踏み出すだけでいいから」
それで告白すればもういけるとだ。周囲は太鼓判を押す。
「告白するのってペドロよね」
「彼よね」
「そう、あの子よ」
テレサも彼だと答える。ここでは顔に真剣さも帯びさせる。
「あの子にだけれど」
「だったらあれよ。もう後はね」
「告白しかないんじゃない」
「勇気を出してね」
「勇気、なのね」
その言葉にだ。テレサは余計にだった。
困った顔になりだ。そして言うのだった。
「それを出すことが」
「だから言うよりはよ」
「まず前に出るの。そうしなさい」
「いいわね、一歩だけでいいから」
「そうしなさいよ」
「一歩っていうけれど」
その一歩がだった。今はだ。
テレサにはどうしてもできなかった。それで困っていたのだ。
学校が終わりリスボンの街を歩く。ポルトガルの首都であるこの町は赤い屋根に白い壁の石の家が並びだ。その先にだ。
青い海がある。それは同じく青い空と遥か先で一つになっている。その空と海が一つになっているところは白く見える。
その赤と青、それに
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