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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第51話
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ロイドの提案を聞いたエリィは頷き、ティオは尋ねた。

「いや……―――やはりここは直接、ルバーチェを当たってみないか?」

「マジか………!?」

「た、確かに以前も訪ねたことはあったけど………」

「競売会の一件もありますし、さすがに無謀すぎるのでは?」

「姿を見せた瞬間いきなり襲い掛かられてくるのじゃないかしら?」

ロイドの驚きの提案を聞いた仲間達はそれぞれ驚いたり、自分達が襲われる可能性を口にした。



「……ああ。いくら手打ちの話があってもキーアの件についてだけだしな。ただ、どうしても気になることがあってさ………」

「気になる事………?」

「あのガルシアの動向さ。何度かやり合って思ったんだが彼は決して愚かでも無謀でもない。そして手下もちゃんと押さえて統率している印象だった。」

「確かに、元は名の知れた猟兵団の部隊長だったしな。普通だったら意味もない襲撃をやらせるとは思えねぇが………」

「昨晩の襲撃を彼が指示したのかそれとも手下の暴走なのか………確かに知りたい情報ではあるわね。」

ロイドの話を聞いたランディとエリィは頷いた。

「だろ?ルバーチェ商会の周辺を聞き込んでみるくらいでもいい。今から行ってみないか?」

「はあ………仕方ないわね。」

「まあ、周辺を聞き込む程度なら危険は少ないのではないかと。」

「しゃあねえ、行ってみるか!」

「うふふ、”何が出てくるか”今から楽しみね♪」

その後ロイド達は裏通りに向かい、ルバーチェ商会の建物を物陰から見つめた。ルバーチェの建物の入り口付近には多くのマフィア達が殺気立っており、今にも襲い掛かってきそうな雰囲気をさらけ出していた。



〜裏通り〜



「やっぱり普段より見張りが多いみたいね………」

「しかも、想像以上に殺気立ってる感じだな………」

「焦りと興奮、警戒と不安……そんな感情がごちゃ混ぜに伝わってきます。」

「まあ、昨晩襲撃をしたばかりだから、襲撃した場所の”報復”を警戒しているのじゃないかしら?」

マフィア達の様子を見て呟いたエリィ達の話を補足するかのようにレンは自身の推測を口にし

「間違いなく”黒月”の報復を警戒してるんだろう………しかし参ったな。あの様子じゃ、ガルシアの動向を確かめるなんてとても―――」

ロイドは真剣な表情で呟いて溜息を吐いた。するとその時



「―――俺が何だって?」

なんとガルシアが歓楽街の方面から現れてロイド達に近づいてきた。

「ガルシア・ロッシ………!」

「チッ、デカイくせに気配を消しやがって………」

「うふふ、さすがは”元”大陸最強の猟兵団で部隊長を務めていた人ね。」
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