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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十話 シャンタウ星域の会戦 (その2)
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オペレータの絶叫が艦橋に響く。敵だと? 一体何を言っている。
「敵です! 五個艦隊! 総数、約六万を超えます!」
馬鹿な! そんな事はありえない。一体何処の敵だ、ヴァレンシュタインが来る事などありえない。
「どういうことだ、帝国軍は何を考えている?」
「敵は我が軍を挟撃しようとしています!」
「こんなことはありえぬ!」
そうだ、こんなことはありえない。敵はまだオーディンあたりに居るはずだ。何かの間違いだ。
「敵、攻撃してきます!」
スクリーンに火球が次々と誕生し、消え去っていく。味方が次々と爆発していく。
「司令官閣下、どうなさいます」
どうなさいますだと、どうすればいいのだ。
「……第三、第四分艦隊を後背の敵に向けよ!」
「閣下、それでは前方の敵が、第一反転攻撃は」
そんな事は分っている。しかし他に手が無いではないか!
「黙れ、第三、第四分艦隊を後背の敵に振り向けるのだ!」
何故だ、何故こんな事になった、各個撃破するはずではなかったのか……。
宇宙暦796年8月19日 2:00 第十三艦隊旗艦ヒューベリオン ヤン・ウェンリー
「閣下、敵が」
ムライ参謀長が押し殺したような声で尋ねてきた。パトリチェフ、ラップ、グリーンヒル、皆信じられないような物を見たような顔をしている。
「やられたよ。ヴァレンシュタイン司令長官はカストロプには行っていない。そう見せかけてシャンタウに向かっていたんだ。フェザーンすら欺いてね。全く見事だ」
フェザーンを欺いた? いや或いはフェザーンも帝国に与したか? だとするとこれからの同盟は危険な状態になる。軍事力が低下し、フェザーンも敵に回る。最悪といって良いだろう。
「閣下、そんな事を言っている場合では有りません。どうします?」
ラップが何処か呆れたような口調で問いかけてきた。
「そうだね。まだ逃げるには早そうだ、幸いこちらは挟撃されていないからね」
無残な事になった。味方の左翼は全滅だな、こちらもどれだけ生き残れるか……。
帝国暦 487年8月19日 2:00 帝国軍 ローエングラム艦隊旗艦ブリュンヒルト ラインハルト・フォン・ローエングラム
反乱軍の左翼は総崩れになった。前方と後方から帝国軍に挟撃され次々と艦列が崩れ爆発していく。スクリーンには圧倒的に敵を叩きのめす帝国軍の姿が映っている。
ブリュンヒルトの艦橋は勝利に沸騰するような喜びを爆発させている。前回、イゼルローン要塞で悔しい思いをした兵がそのまま乗り込んでいるのだ。喜びも一際大きいだろう。
「閣下、ヴァレンシュタイン司令長官より通信です」
オペレータの声と共にスクリーン上にヴァレンシュタイン司令長官の姿が映った。
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