暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
13話 楯無戦
[12/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
リスクを承知の上で攻めている。しかし、『自分のシールドエネルギーを削られても相手のシールドエネルギーを削る』ことで両者の差を埋めさせない。

 ―――2回分の絶対防御、言葉にすれば大したことないように感じるけど現実と数字に置き換えてみれば相当マズイ! 多少のリスクを受け入れた上で相手の行動を潰そうとしているんだ!

 一定のリスクを入れた力勝負ほど攻略し難いものはない。体力差、技量差、IS戦に置ける経験値の差に圧倒的な開きが存在する以上、鬼一はこの力勝負を突破することは絶望的なまでに困難だ。

 夜叉の上から蒼流旋のガトリングによる弾幕を叩きつけられる。その弾幕から振り切るように鬼火を吹かして更に距離を取る。

 ―――どうする? チャンスを作るためにもう一度近距離での戦闘を挑むか? いや、ダメだ! この人はさっきよりも攻めてきている以上、さっきと同じじゃ形にもならない。それなら……っ!

 羅刹を格納して先ほどよりもやや身軽な動きで鬼神を飛翔させる。

 ―――……あら、チャンスを作れたあの時と同じように近距離戦を選ぶの?

 距離を詰めてくる鬼神に対して霧纏の淑女はそれを迎え撃つ。いや、迎え撃とうとした。

 ―――これならどうだっ! 

 ―――……そういうことね!

 両者の距離は鬼一が一瞬でも有利を取れた近距離戦ではなく、かといって楯無が圧倒的な優位を取れる中距離でもない。その中間の距離。射撃戦でも格闘戦を行おうと思えば行える微妙な距離だ。そこから鬼一は詰めようとも離そうともしない。

 楯無の優勢は決して変わらないが、しかし楯無にとって細かい対応と複雑な判断に問われる距離。

 楯無から見て鬼神の警戒すべき点は2点。それは競技用ISの中でもトップクラスの機動力を誇る鬼火、そしてその攻撃手段、手札の豊富さにあった。
 これに加えて鬼一の対応力の高さと判断力、そして集中力を組み合わせると従来のセオリーを乗り越えるほどの爆発力を秘めている可能性があった。それはセシリア戦や一夏戦で証明している。

 ナノマシンを温存したい楯無からすれば残りの手札は決して多くない。それに対して鬼一の手札はまだ多い。その中で繊細な対応を問われるこの距離だと僅かながらに楯無が不利なのだ。1歩判断を誤れば今度は咎められる可能性は大きい。

 ―――先輩だって鬼神の手数の多さは理解している。確かに中距離射撃戦はこっちが不利だけど、奇襲は出来る。そしてチャンスを作ることが出来た近距離戦。単一だったら崩されるけどその中間、集中力と判断が問われるこの距離なら決して向こうも判断に困る部分は多いはず。

 なによりもこの人は変化が起きたとき、様子見、リスク回避を優先する傾向がある。それならここからの我慢比べに乗ってくる可能性は充
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ