暁 〜小説投稿サイト〜
世界最年少のプロゲーマーが女性の世界に
13話 楯無戦
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け引き出来る段階にすら踏み込めていないのだ。鬼一が楯無に勝つには自分の土俵に引きずり込むしか方法はない。だが、このままでは楯無の土俵で一方的に破られるのは自明の理。

 ―――しかも、まだまだ手札を隠し持っているなこの人。本人自身のスペックの高さもそうだけど、霧纒の淑女のナノマシンの性質を考えれば多少の劣勢をひっくり返す切り札があるはず。出来ることなら何らかの形で見ておきたいけど……。

 霧纒の淑女のガトリングを回避しながら自身の前面に防御弾頭を発射し、射撃による攻撃を一時的に緩和する。楯無のリスクを避けた攻撃は対応できるが、今のままでは打開策の1つすらも思いつかない。

 ―――何が突破口になるかは分からないけど、今は出来ることを試していきながら情報を見逃さずに変化していくしかない。焦るな。我慢して隙を見せないように立ち回れ。

 一瞬、ガトリングによる攻勢が弱まる。それを活かして鬼一は体勢を立て直して防御弾頭から通常の実弾に切り替えた。躊躇いもなくミサイルを扇状に発射。セシリア戦で見せたミサイルの使い方。
 飛来してくるミサイルに対して楯無は焦った様子を見せることもなく、ゆったりとした動きで後退しながらガトリングでミサイルを撃ち落としていく。落とし損ねたミサイルの残りはランスで切り払う。
 ミサイルを近接武器で迎撃するという離れ業を見せられた鬼一は一瞬、鳥肌が起こる。予想をしていたとはいえ、余りにも滑らかなその動きに言葉すら沸かない。

 ―――全くブレないか。だけど後退させることが出来た。それなら……前へ!

 鬼火を展開させて左手には逆手に構えた夜叉を構えて突貫。少なくとも現在の状況は5分。鬼神の機動力を活かすためのスペースは出来ている。スペースがあるということは離脱することが可能ということ。
 一夏戦のように『防御と回避の選択』を強制させることが難しい以上、次善策として自分が離脱するスペースを容易することで一定の安全を獲得。安全を獲得したらすかさず速攻。リスクは存在するが今は変化と情報が必要なのだ。楯無が手札を見せてこない以上、鬼一が能動的に仕掛けることで対応を引きずり出すことで情報を得ようとする。

「あら?」

 そんな楯無のノンキな声に気にしている余裕は鬼一にはない。

「―――っふ!」

 ―――蒼流旋の破壊力を理解しているのに、それでも前に踏み込んでくるのね。無知、ってわけじゃないとなるとリスク覚悟で情報を引き出すために、とこかしら?

 自分好みの動きをする鬼一に対してクスリ、と楽しそうに笑みを零す。勝利を得るためには必ずリスクが付き纏うことを骨の髄まで理解している楯無。だからこそ、楯無が鬼一の勇気ある行動を内心褒める。人間、理性で理解していてもそれを実践できる人間は少ないのだ。それも
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