sts 27 「力と考え」
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ているだけ。管理局員としては正しいことなのだろう。
だが……ひとりの人間として考えれば今のなのはがやっていることは自分をさらに追い込んでいるようなものだ。
今回の一件でギンガと同様にヴィヴィオもさらわれてしまった。なのははヴィヴィオを実の娘のように思い始めていただけに精神的ダメージは六課メンバーの中で誰よりも受けているはずだ。なのはの性格を考えると早めに弱音を吐かせておかないと過去のあの出来事のようなことが起きかねない。
「……考えてばかりいても仕方がない」
今は俺に出来ることをやろう。まずは……病院に居るんだからスバルと話しておくか。これに加えて、他の六課メンバーの様子を窺おう。それが一段落したらなのはのところに……。
そう考えて壁に寄りかかるのをやめて歩き始める。が、すぐさま後ろから俺の名を呼ばれた。
「ショウ、こんなところでどうしたの?」
「フェイトか……仕事はするなって言われたからな。俺の治療自体は終わってるからみんなのところに顔を出そうとしてたところだ」
「そっか……ちゃんと今は休んでね」
心配してくれるのは嬉しいが、微妙に俺が言っておかないと仕事をすると思われているように思える。あれこれ考えはするが、よほどのことがない限り念を押されなくても仕事をするつもりはないのだが。
「言われなくても分かってるさ」
「本当に?」
「今日はえらく疑うな。俺は仕事をしていないと落ち着かないような仕事中毒者じゃないんだが」
「それは分かってるけど……でも色々と今回のこと考えるよね? 何かに打ち込んでた方がそういうの考えないで済むから、いつもと違って仕事をするんじゃないかって心配にもなるよ。どことなく思い詰めてるような顔してるし……」
フェイトの言葉に俺は反射的に自分の顔に触れる。感情を表に出しているつもりはなかったのだが、隠しきれていなかったのかもしれない。今はフェイトだけなので問題ないが、隊長という肩書きはないにしてもフェイト達隊長陣と同等に扱われる存在なだけに人前では気を付けておかなければ。
「そんなに顔に出てたか?」
「ううん、露骨に出てたりはしてなかったよ。多分ほとんどの人は分からないと思う」
「なのに分かったのか……」
元から感情が表に出やすいほうではないし、すっかり社会人になっている今では昔以上に感情を隠すことは上手くなっているはずなのだが。まあ昔から付き合うのある相手にはそこまで隠すことはないのだが。
「分かるよ……ずっと前からショウとは一緒なんだから。……私はショウが私……ううん、私だけじゃなくなのは達も含めて弱音が吐けるように振舞ってくれるのも知ってる。それにこれまで何度も甘えたし助けられてきた。でもね……ショウだって甘えて
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