第一章
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タクチータ
モロッコはアフリカ北西部の端にある国だ、ジブラルタルの向かい側にあり地中海の門であると言っていい。
その為古来から多くの勢力が行き来していた国であるが。
「無茶苦茶多いな」
「ああ、うちに来た国ってな」
「ローマ帝国とかヴァンダルとか」
「イスラムもあるな」
「オスマン帝国もか」
「よくあんなところから来たな」
地中海の東の端からというのだ。
「あの国でかかったんだな」
「まさに大帝国だったんだな」
「ローマ帝国並か」
「ああ、それとな」
グループ学習をしている学生達にだ、教師のイブラヒム=ジダンが言った。日に焼けた肌に高い鼻と彫のある顔はコーカロイド的だ、背は高く髪の毛は黒いがいささか白いものも混ざっている。目は青い。歳は四十で家には息子と娘がいる、一八〇ある背は背筋がしっかりとしていて引き締まった身体月をしている。
「東ローマ帝国にフランスもな」
「ああ、そうした国もでしたね」
「こっち来てるんですよね」
「ポルトガルとかも来て」
「ギリシアも着てますね」
「神話に出て来るだろ」
ギリシア神話にとだ、ジダンは生徒達に言った。
「しっかりと」
「ですね、ヘラクレスでしたね」
「ここに来てるんですね」
「何か我が国の歴史を調べますと」
「凄いですね」
「色々な国が来てだ」
ジダンは生徒達にこうも言った。
「わし等は戦って負けてその下にいたな」
「ああ、先生ベルベル人でしたね」
「ベルベル人は長い間そうした国の下にいたんですね」
「そうでしたね」
「やっとな」
それこそとも言うジダンだった。
「独立してな」
「モロッコっていう国にもなって」
「それで、ですね」
「何処かの国の下にいなくなりましたが」
「ずっとですね」
「ベルベル人は大帝国の中にあったんだ」
ローマ帝国なりオスマン帝国なりのだ。
「本当にな」
「というかローマ帝国の頃からって」
「ベルベル人の歴史も長いですね」
「二千年ですね」
「それ位普通にありますよね」
「ああ、本当に色々あったんだ」
しみじみとした口調で出した言葉だ。
「調べていてわかっただろ」
「はい、本当に」
「モロッコの歴史ってやつが」
「色々な大帝国が来た国ってことがわかりました」
「そうした場所にある国なんですね」
「そうだ、それとだ」
ここでだ、ジダンは生徒達にこうも言った。
「その中で自分達の風俗習慣もあってな」
「ですよね、それはこの授業ではしないですけれど」
「ベルベル人にはベルベル人の文化がありますね」
「ベルベル人の歴史があって」
「そうですよね」
「そうだ、それでわしの娘が今度結婚する」
ここで自分の家庭のことも言ったジダンだ
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