6部分:第六章
[8]前話 [2]次話
第六章
同僚のナース達はだ。また控え室においてだ。藍に楽しそうに話すのだった。
「もうすぐですね」
「あの人退院ですね」
「予定よりも早いですけれど」
「もうすぐですよね」
「そうだね。いいことだよ」
笑ってだ。藍も言葉を返す。
「それじゃあね」
「それじゃあ?」
「それじゃあっていいますと」
「やるとするか」
にやりと笑ってだ。藍は言った。
「その退院の時にね」
「一応告白ですよね」
「それですよね」
「そうさ。やってやるよ」
目がぎらぎらとしていた。そのうえでの言葉だった。
「絶対にね」
「ううん、何か本当に決闘の申し込みみたいですけれど」
「果たし状とか書いてないですよね」
「そういうのは」
「そういうのは書かない主義なんだよ」
しないとだ。藍は彼女達に話した。
「ただそれでもね」
「やるんですね」
「本当に」
「やってやるさ。そして」
やるからにだと。彼女はさらに言った。
「決めてやるよ」
「頑張って下さいね、本当に」
「そして頑張るからには」
「為せばなるだよ」
藍は自分の座右の銘も口に出した。
「何もしないと何にもならないんだよ」
「まずは動け、ですか」
「そういうことですね」
「特攻だよ」
これまた実にレディース的な話だった。
「一気に決めてやるよ」
「はい、それじゃあ前祝いにですね」
「これどうぞ」
同僚達からだ。缶コーヒーが来た。藍の好物の。
「これ飲んで気合入れて下さいね」
「そして恋愛成就ですよ」
「絶対にね」
「そうして下さいね」
「勝負には勝つよ」
強い目になってだ。藍は言った。
「やるからにはね」
「そうですよ。それじゃあ」
「これを飲んで」
「やってやるよ」
こう応えてだ。藍はその缶コーヒーを受け取ってだ。そのうえで飲みだ。
彼女は蒼汰の退院の日に。既に全快している彼の病室に来た。
既に退院の支度はしていた。皮ジャンにジーンズの彼は当然リーゼントで決めている。そのうえでベッドに座ってだ。藍に言ってきた。
「じゃあまたな」
「機会があれば会おうってんだね」
「ああ。それじゃあな」
「待ちなよ」
強い声でだ。藍は彼に言った。
「話したいことがあるんだよ」
「話が?」
「そうだよ。話があるんだよ」
こう言ったのである。蒼汰に対して。
「ちょっと来てくれるかい?」
「何だよ、一体」
「屋上に来て欲しいんだよ」
また告げたのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ