9.もう一度やろう
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昨晩の静かな飲み会の翌日……僕は目覚めた後、眠いのを我慢して頭をボリボリとかきながら居間に行くと、母ちゃんと鈴谷がすでに起きていた。
「ぁあ、おはよー和之」
「うーす……二人ともおはよーっす」
母ちゃんは台所で朝ごはんをこさえていて、部屋中に味噌汁のいい香りが漂っている。一方の鈴谷は……
「かずゆきおはよー。べしっ。べしっ」
「おはよー鈴谷……って何やってるんだよ」
「おばさんにパソコン貸してもらってる。べしっ。べしっ」
べしっべしっといちいち口ずさみながらパソコンをいじっている。いやいやそんなん見たらわかりますやん。なんでべしべし言ってるのさ?
「いや、なんかおばさんの話によるとかずゆき、べしっべしって言いながらパソコン使うんでしょ?」
「だから和之がパソコン使ってるとうるさいのよねー」
「だから鈴谷も真似してみようと思ってさ。べしっ」
……鈴谷、それは僕をからかっているのか。
「ぇえー? なんでそうなるの? べしっ。べしっ」
「いいからそのべしべしをやめなさい」
ほどなくして妙高さんが起床。起き抜けだというのにしゃっきりした妙高さん曰く……
「那智は二日酔いでまだ起きてこられませんから、先に朝ごはんをいただきましょう」
とのことで。母ちゃんの話によると父ちゃんも二日酔いで寝室でくたばってるらしいから、その二人は放置でいいだろう。
そうこうしているうちに妙高さんが母ちゃんと共にちゃっちゃと玉子焼きをこさえ、三人での朝食が始まった。ではいただきます。
「いただきまーす。べしっ。べしっ」
「鈴谷うるさい」
「かずゆきだって言うくせに。べしっ」
鈴谷が言ってて気付いたんだけど、この口癖、横で聞いてるとけっこううるさいな……この口癖やめようかな……べしっ。
そんなわけで朝食を頂いている最中、僕はみんなにちょっとした話があった。昨晩妙高さんたち二人の話を聞いてて、フと思いついたことだ。
「……みんな、ちょっといいかな」
「お? どしたのかずゆき?」
「えと……みんなに相談がある」
「うん」
僕がいつになく真剣な面持ちで話し始めたからなのか……鈴谷の顔からいつものムカつく笑顔が消えた。妙高さんも今は優しい笑顔が消え、真剣に僕の顔を見ていた。母ちゃんは……あくびしてた。
「鈴谷、昨日あのあと僕と妙高さんと那智さんの三人で話をしてたんだけど……」
「そうなの?! じゃあ鈴谷も呼んでよー!」
「いや真面目な話。お前たちのことなんだけど……」
「ほ? 鈴谷たちのこと?」
「うん。妙高さんにも聞いて欲しい。で、意見を聞いてみたい」
「私もですか?」
「はい」
昨日、妙高さんたちと話をしていて一つ気になったことがあった
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