4部分:第四章
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第四章
「弓木蒼汰だ」
「弓木ねえ」
「そうだ。仕事はバイクや車の修理に」
「販売だね。自転車も売ってるね」
「知っているんだな」
「まあね。聞かせてもらったからね」
「そうか。それでか」
納得してだ。彼も頷く。
「それで知ってるんだな」
「そうさ。それであんた」
「今度は何だ」
「怪我の方はどうなんだい?」
腕を組んでだ。彼の傍に来て尋ねたのだった。
「そっちの方は」
「動けないのが辛いな」
蒼汰もだ。率直に藍に述べた。
「事故ははじめてだ」
「じゃあ勝手とかはわからないんだね」
「ちょっとな。どうしてもな」
「そうか。それじゃあね」
蒼汰の話を聞いてだ。藍は自分から言った。
「何かあれば言うんだね。世話してやるからね」
「おいおい、喧嘩売るみたいな言い方だな」
「そう思うなら思うといいさ。こっちは仕事だからね」
「そうか。それならな」
「宜しくね。あたしは横山藍」
「もう一度言うな。弓木蒼汰だ」
「宜しくね」
こんな話をしてだった。藍は蒼汰と最初のやり取りをした。そうしてだ。
彼の世話をしてさしでよく話しているうちにだ。彼のことを知ったのだ。とにかくだ。彼は来客の多い男だった。ただしその顔触れが。
「ううん、今日もお見舞いの人来てるけれど」
「何ていうか?そういう人達ばかりじゃない」
「如何にも元ヤンキーでしたって感じの」
「バリバリ夜露死苦?」
死語まで出て来た。
「そういう感じの人ばかり」
「ぞろぞろとね」
「面白いねえ」
そしてだ。藍はだ。その蒼汰についてこう言うのだった。
「あれこそがだよね。あたしのね」
「タイプなんですね」
「性格も」
「ああ、そうだよ」
まさにそうだというのだ。今日も待合室で缶コーヒーだ。ただし今はヤングマガジンを読んでいる。それを読みながらこう仕事仲間に話すのだった。
「あれでこそだよ」
「漢っていうんですか?」
「つまりは」
「そうだよ。いい感じだよ」
また言う藍だった。
「退院したら。言おうかね」
「告白ですか」
「そうされるんですか」
「女は度胸だよ」
決闘をする調子での言葉だった。
「一気にやるんだよ」
「あの弓木さんが退院されたらですか」
「すぐに」
「その場で言うさ」
やはりだ。ヤングマガジンを読んでいる。読んでいるのは当然不良漫画だ。
「それがあたしのやり方さ」
「けれど何か本当に勝負するみたいですよ」
「きうちかずひろさんとかもとはしまさひでさんの漫画じゃないですか」
「先輩そういう感じですよ、今」
「ちょっと古くないかい?」
そうした漫画家についてはだ。藍もこう突っ込みを入れた。
「あたしも読んできたけれどさ」
「って読んでたんですか」
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