8.鈴谷は仲間はずれ
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「冷蔵庫、失礼しますね……」
と冷蔵庫の野菜室を開け、大根や人参をひょいひょい取り出していた。
一方の那智さんは那智さんで……
「おや、那智さんはよく飲まれますか?」
「ああ。なんだかんだで仲間と共に毎晩飲んでいる」
「それは頼もしい。うちは和之もあまり飲まんし妻も甘党ですから、家ではいつも俺が一人でビール飲んでるだけなんですよ」
「そうなのか? では今晩はこの那智が、とことん付き合って差し上げようか」
と酒が入っていい気分になった父ちゃんに差し向かいの酒に誘われ、二人で楽しそうにサントリーオールドを飲み進めていた。
「なんかいい感じにカップリングができてるな」
最初の父ちゃんと母ちゃんの様子が様子だけにとても心配していたのだが……いい感じに四人とも仲良くなったみたいでなによりだ。
「そだね。みんな仲良くなれてよかったね」
僕と同じく、鈴谷も四人の様子を微笑ましく見ていた。僕のチューハイを横からかっさらってかっぱかっぱ飲んでいたせいか、鈴谷のほっぺたはほんのり赤くなっていた。
その後は妙高さん作、母ちゃんプロデュースの煮物と玉子焼きをみんなで食べたり、那智さんと父ちゃんが飲み比べをしたり、鈴谷が那智さんのダルマを横からかっさらって飲んで喉を焼いたりとかして楽しい時間が過ぎていく。途中、父ちゃんが酔いつぶれてしまい……
「妙高さん素敵だけど……でもやっぱり俺は……母ちゃんが一番だッ!!」
と聞いてるこっちが恥ずかしくなる雄叫びを上げた後に失神。その父ちゃんを、妙にポヤポヤした母ちゃんが寝室に運んでいったところで宴会はお開きとなった。
「僕は自室で寝ます。使ってない部屋が一室ありますんで、お二人プラス鈴谷はそちらでお休みください。布団は敷いておきました」
「お心遣い、感謝いたします」
「お風呂や洗面所は好きに使って頂いて大丈夫ですから」
「ありがとう」
「ねー……かずゆきぃー……」
僕が二人に部屋の説明をしていたら、鈴谷が妙にトロンとした目で僕を見ていた。……まーあれだけかっぱかっぱ飲んでたら、いくら酒に強くても酔っ払うわな……。
「かずゆきー。すずや、かずゆきといっしょにねてあげても……いいよ?」
「お前酔ってるだろ……いいから妙高さんたちと一緒に寝なさいよ」
「ねぇー……かーずーゆーきー……」
「だあッ!! 寝ろッ!!」
「ちぇ〜……」
そんな僕と鈴谷のやり取りを見ながら、妙高さんと那智さんはくすくすと笑っていた。母ちゃんは父ちゃんを運んでいったまま戻ってこない。恐らくはそのまま寝たんだろう。
「それじゃあおやすみなさいッ」
「おやすみなさいませ」
「ああ、おやすみっ」
「かずゆきのバカぁ……」
僕はと
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