第20話『吹き渡る風』
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だと、俺に教えてくれた。
俺に声を掛けた部長は、俺の枕元に胡座をかいて座っている。
「え…? これってどういう…何でここに?」
気を失っていて記憶が飛んでいるため、この状況までの過程が思い出せない。
え〜と、あそこで気を失ってから、それから・・・
「! 部長、戸部さんは?!」
俺は重大な事を思い出し、部長に彼女の存在を問う。
部長はその質問に首をかしげて悩んだ後、「あっ」と独りでに納得して言った。
「戸部…っていうのはお前と一緒にいた可愛い女子か? 彼女ならもう家に帰ったぞ」
「じゃあ無事なんですね?!」
「あ、ああ」
それを聞いた俺は安堵した。
良かった、ちゃんと守れるという役目は果たせたみたいだ。俺と彼女が無事なら、何の問題もない。
それでも、いきなり目の前でぶっ倒れたし、やっぱり心配掛けちゃったよな。学校で謝らないといけない。
「なぁ三浦。目が覚めてすぐで悪いが、少し話をいいか?」
「はい、大丈夫です」
俺は部長の問いに快く答えた。
すると部長は話を始めた。
「話は全てその子から聞いた。始め、俺たちを呼びに来た時なんか酷い慌てっぷりでな。『熊が! 三浦君が!』なんて言われて、お前が熊にでもなったのかと思ったよ」
「何でそうなるんですか…」
部長はまず軽口から入る。いつも通りだ。
なるほど、どうやら俺が気を失った後、戸部さんは宿に戻って助けを呼んでくれていたみたいだ。確かに、女手で男子を連れて帰るのは厳しいだろうから、それは賢明な判断だろう。
「でもって彼女はお前が熊を倒したことにとても驚いてたから、仕方なくこの部の実態を教えた。そうしたら、半信半疑で納得してくれたよ」
「う、すいません…」
「なに、謝ることじゃないさ」
仕方ないと部長は笑ってくれたが、俺の気持ちは晴れなかった。
魔術だなんて、ここでは部活こそあれど、本来なら人にホイホイと話すものじゃない。典型的な例だと、悪い奴らに利用されるかもしれないからだ。
戸部さんはそんな人じゃないと思うけど、今後はもっと用心するべきだろう。
「俺はお前がまた魔術を使えたことを嬉しく思うし、それ以上に、それで人を守ったお前のことを、尊敬する」
今度はストレートに言われる。
部長からそう言われるなんて、とても照れくさい気分だ。
「お前を連れ帰る時に様子を見てきた。全く、初陣であんな獣をよく倒せたな。すげぇよ、ホント」
部長はしみじみと、独り言のように呟く。
そして急に立ち上がると、堂々と言った。
「自分を守るため、誰かを守るため、強敵に立ち向かったお前の勇気を、その精神を、俺は部長と
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