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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第3話:ブリティッシュ作戦
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かにされた
連邦の所業に対して、さすがに愛想をつかしたコロニーの連邦からの離反が
相次いだためである。

すでにジオンの勢力下にあるサイド1・サイド2・サイド4およびグラナダに加え、
サイド5と月面の諸都市もジオン支持に姿勢をひるがえした。
さらに、最も強硬に連邦支持を打ち出していたサイド6も世論の圧力には勝てず、
完全なる中立を宣言するに至った。
これにより各コロニーおよび月面に駐留していた連邦軍は退去を余儀なくされ、
連邦宇宙軍の拠点であるルナ2に移動することとなった。

サイド5にはドズル・ザビ中将率いる宇宙攻撃軍が進駐し、宇宙は事実上
ジオンの手に落ちることとなったのである。

とはいえ、連邦もその手をこまねいているだけではなかった。
移動を開始したコロニーを迎撃するため、ティアンム提督率いる艦隊が
ジャブローからが打ち上げられ、なんとか軌道投入地点よりも手前での迎撃が
可能な態勢を整えたのである。

さらに、ルナ2でも各サイドから敗走してきた戦力の再編が行われ、
サイド3から地球への最短経路の途上にあるサイド5を奪還するべく、
着々と準備が進められていた。

そんな中、ルツは日に3度回ってくる哨戒任務を淡々とこなしていた。
ただ、艦から出て虚空を見つめながらコロニーに歩調を合わせて飛行するという
大してやることが多いわけでもない任務であったが、ルツは人一倍の熱心さをもって
取り組んでいた。

コロニーの移動開始から4日目。
その日2回目の哨戒に出たルツであったが、3時間の担当時間の半分が過ぎても
特段変わったことはなく、今回も空振りかと思い始めていた。

『ルツ中尉。 前方の宙域にミノフスキー粒子が濃い宙域があるようです。
 前方の偵察をお願いします。
 なお、艦隊各艦はこれよりミノフスキー粒子を戦闘濃度で散布しますので
 通信は不可能になるかと思われます』

「了解。 我々は前方に出て偵察にあたる」

コリオランからの通信によって一気に緊張が高まる。
ルツは2人の部下を連れてコロニーの進行方向に向かって移動を開始した。

このあたりの宙域は地球の静止軌道まで1日もかからない位置にあり、
身を隠すようなデブリはない。
たいていの物体は地球の重力にとらわれて大気圏に突入してしまうからである。

ルツはこれまでに経験したことがないほど大きく広がる青い地球に
一種の恐怖を抱いていた。

自分自身がその青い球体に飲み込まれてしまいそうな感覚を覚えていたのである。

無論、飛行速度に気を配らなければどんどん重力によって引き寄せられてしまう
位置ではある。
彼自身もそれは重々承知していた。

だが、彼が感じていた恐怖はそんな物理的なものではなかった。

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