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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第3話:ブリティッシュ作戦
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「こんなことが許されるのか!? こんな、人を人とも思わない所業が!!」

「許されねえよ、絶対に」

ベルゼンはルツからぶつけられる怒りの波動に気圧されることもなく
それを受け止めた。

「許されねえし、許さねえ。 俺らはそのために戦ってるんだろうが」

「・・・そうだな。 悪かった、お前に突っかかっても仕方ないのに」

「構わねえよ。 ま、その怒りは別の奴にぶつけてほしいけどな」

「そうするよ」

苦笑するベルゼンに向かって不敵に笑うと、ルツは自分のザクに向かっていった。





翌日。
海兵隊によるコロニー内部の調査と工兵隊による核パルスエンジンの取り付けは
完了し、コロニーの移動開始予定時刻に向けてのカウントダウンが始まっていた。

結局、1日がかりで行われたコロニー内部の捜索は実を結ばず、
見つかるのは青酸中毒死した住民の遺体ばかりだった。
その作業のさなか、あまりに悲惨な光景に何人かの海兵隊員が精神を病んだという。

住人の避難に使われるはずだった輸送艦は、多分にガスを含んでいるであろう
住人の遺体をのせて航行するわけにもいかず、空のままサイド3へと帰っていった。

内部に大量の青酸ガスを抱えたままコロニーを落着させた場合に地球環境に及ぼす
影響も不明であったため、コロニー内部の空気はその場ですべて排出された。

それらの作業が終了したところで、護衛に当たる各艦はコロニーの移動に伴う
不測の事態に巻き込まれるのを防ぐため、コロニーからは距離を取ったところに
移動した。

そして今、核パルスエンジンの点火まで5分と迫っていた。

ルツはコクピットでの待機を命じられ、ノーマルスーツを着てコクピットに
座っていた。
ヘルメットから聞こえてくる通信によって状況を把握しつつじっと待っていると、
通信画面がひとつ開いた。

『これよりギレン・ザビ総帥による演説が放送される。 全員、傾聴せよ』

ルーゲンス准将による指示に続いて、演壇に立つギレンの姿が映し出された。
ルツは思わず背筋を伸ばしてその画面に注目した。

『忠勇なるジオン公国の将兵諸君。 公国軍総帥、ギレン・ザビである。
 まずは、サイド1・2・4および月面のグラナダ基地攻略に参加した各員に
 感謝の意を表したい。
 このように迅速に各地を制圧できたのは、各員の日ごろの努力の賜物である』
 
画面の中のギレンは、一旦言葉を止めてその鋭い目線を左右に走らせた。

『だが、各サイドで民間人に多くの犠牲者を出してしまった。
 公国軍の最高責任者として、慚愧の念に絶えない。
 謹んで哀悼の誠をささげるものである。
 
 しかし、我々はここで立ち止まることは許されない。
 昨日ま
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