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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第3話:ブリティッシュ作戦
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った。

コロニー後方の港口付近にいる旗艦エグモントに向かう途中、
ルツはなにげなく採光部を通してコロニーの内部を見た。

「ん、妙だな・・・」

ルツはモニターに映る景色の奇妙さに、思わずつぶやき声をあげる。
その光景には通常あるべきものがなかった。
通行人や車両の姿である。

「事故・・・か?」

彼が唯一発見できた人の姿は、ドアの空いたエレカのそばに倒れている
女性の姿だった。

ルツは心の中がざわつくのを感じていた。
だが、彼はその妙な気持悪さを振り払うようにして、旗艦エグモントへと急いだ。

エグモントの誘導に従って着艦すると、完全武装の陸戦隊1個小隊が格納庫で
待ち受けていた。
ルツは慎重な手つきで抱えてきたシャトルを格納庫の床に置く。
即座に陸戦隊の面々がシャトルを取り囲み、ハッチをこじ開け始めた。

一方ルツたち3人は母艦に戻るように指示をうけ、すぐにエグモントをあとにした。
コリオランに戻った3人は4時間の休養を与えられ、それぞれ自室で仮眠に入った。





3時間後。
少し早くに目が覚めたルツは、格納庫脇の休憩室に向かった。
移動していく最中、艦内の雰囲気がピリピリとしているように感じていた。
休憩室に入ると、険しい表情のベルゼンが話しかけてきた。

「おい、えらいことになったな」

「ん? なんのことだ?」

「はあ? 聞いてないのか?」

「寝てたもんでね。 何があったんだ?」

呆れたといわんばかりに肩をすくめたベルゼンは、ルツが眠っている間に
何があったかを話し始めた。


ルツたちがとらえたシャトルに乗っていたのは、連邦軍の特殊部隊員であった。
エグモントの艦内で行われた尋問の結果、彼らはコロニー内部の空気循環系に
青酸ガスを流したことを自白した。
コロニー内に進入した海兵隊は、ヘルメットのバイザーを下ろしていなかったために
このガスの被害を受けてしまったのである。

一旦艦まで後退した海兵隊は、部隊を再編し万全のガス対策を整えたうえで、
コロニー内部へと再進入を開始した。
海兵隊の当初の目的は、コロニー住人の退避を指揮することであったが、
その任務は生存者の捜索へと変貌していた。


「・・・で、これが海兵隊の撮影した内部の映像だよ」

話の最後にベルゼンはコロニー内部の映像をルツに見せた。
そこには日常の生活の中で突然に強制的に生を打ち切らされてしまった
普通の人々の姿が映し出されていた。
その映像をじっと見つめていたルツは不意にテーブルを拳で殴りつけた。

「おい、どうした!?」

突然のことに驚いたベルゼンが声をかけると、ルツは鋭い眼をベルゼンに向け、
彼の襟首をつかみ上げた。

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