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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第3話:ブリティッシュ作戦
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設途中の軽いコロニーは
不利であるが、結局は作戦の実行性から8バンチが選ばれた。

ルーゲンス艦隊はコロニー前方に展開して、住民退避と核パルスエンジンの装着が
完了するまで連邦宇宙軍による攻撃に備え、コロニーが移動を開始したのちも
海兵隊と共同でコロニーの護衛を行う。
作戦時間はコロニーの移動開始まで24時間、さらに護衛完了地点まで5日間と
長時間にわたる。

コロニーの落着目標は連邦軍本部、南米ジャブロー。
国力において圧倒的に劣るジオン公国にとって、この戦争を短期に終わらせるために
必要不可欠な作戦であった。


メンヒ大尉による説明が終わると、待機室にいる全員は息をのんだ。

確かにこの作戦が成功すれば地球連邦軍の本部たるジャブローは完全に機能を喪失し
その頭脳を失った連邦軍は瓦解、公国軍は勝利しスペースノイドは完全なる独立を
勝ち取ることができる。

しかし、周囲数十キロにもおよぶであろう範囲の大地が根こそぎ破壊され、
そこに生きる人々、地球連邦軍の軍人だけではない、農民、漁民、商人、会社員、
家庭の主婦、そして子供たち。
そんな普通の人々の生活を、その思想とはまったく無関係に奪ってしまう。

この作戦によって連邦に対して致命的ともいえるダメージを与えられるという熱狂と
物理的に生じる被害の大きさの間で、全員の心は揺れていた。

しんと静まりかえった待機室を見回し、メンヒ大尉は手を叩いた。

「さあ、出撃だ! 海兵隊に遅れをとるなよ!!」

その発破に促され、己の迷いを振り切るようにパイロットたちは立ち上がって
待機室を出て行った。
ルツは一番最後に出ると格納庫へと急ぐ。
愛機の足元に降り立つと、その緑色の機体を見上げた。

「ルツ中尉。 どうかされましたか?」

自分を呼ぶ声に振り返ると、笑顔のシェンク伍長が立っていた。

「いや、どうもしない」

ルツはそう言って、もう一度自分の機体を見上げる。
火の入っていないザクのモノアイは光をたたえてはいないが、
シールドの向こうから自分を見据えているように感じていた。

ブリティッシュ作戦の是非に疑問を感じる己の内心を見透かされているように。

「なあ、伍長。 今回の作戦、お前はどう思う?」

「どう思う、ですか?」

「ああ。 コロニーを落着させればジャブローは叩けるだろう。
 だが、民間人にも莫大な犠牲者が出ることになる。
 確かに連邦がコロニーにしてきたことは許せないが、戦争とはいえ本当に
 こんなことが許されるのか、と思ってな」

ルツは再びシェンクのほうを振り返り、気弱な表情を見せた。
そんなルツの様子を見たシェンクは、背をピンと伸ばしてルツの目を見た。

「中尉。 僕の父は
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