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Blue Rose
第十五話 変わる為にその十一

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「いいことはないわ」
「僕にとって」
「マスコミに嗅ぎつかれたら」 
 それこそというのだ。
「大変だから」
「それでだよね」
「そう、そうしたことはね」
「しないに越したことはないから」
「姉さんも考えたの」 
 院長と共にというのだ。
「人が来ない場所で女の子になるべきって」
「難を逃れるってことだね」
「その難を逃れる為のことだから」
 それ故にというのだ。
「いいことよ」
「いい逃げ方だね」
「絶対に逃げることが駄目なら」
 それこそという口調だった、今度は。
「猛獣から逃げないのかしら」
「向かっていってもね」
「馬鹿げた難からは逃げるべきなのよ」
「DVにもだね」
「人間極端な暴力には何も出来なくなるわ」
 抵抗する意志を完全に失ってしまうのだ、人間は酷い虐待を受けたり目にすると恐怖やダメージで向かう感情を失うこともあるのだ。
「そして最悪の結果になるわ」
「自殺か殺されるか」
「よく子供の虐待があるわね」
「親の」
 この話は優花も聞いている、そうした親になるべきどころかこの世に生きるべきではない輩も世の中には存在しているのだ。
「義理でもね」
「ああしたことになることもね」
「逃げないとなのね」
「子供は逃げられないでしょ」
「難しいよね」
「だから悲劇が起こるのよ」
 重傷、手遅れという事態にだ。
「児童相談所が無能であることも多いし」
「あるね、確かに」
「子供は逃げにくいから」
 特に幼児、乳児はだ。どうして逃げられようか。
「そうなってしまうのよ」
「逃げられないから」
「立って歩くことすら出来ない子だと」
 その乳児のことである。
「そして立って歩けれてもまだ何も知らない子だとね」
「どうしようもないね」
「言うまでもなく自分より力が弱い相手に暴力を振るう奴は最低よ」
 この当然の理をだ、優子はこれ以上はないまでの嫌悪と侮蔑を込めて言った。
「そうした奴は生きている資格がないわ」
「本当にそうだよね」
 優花も姉のその言葉に頷く。
「そうした奴はね」
「そうね、そしてね」
「逃げられたらだね」
「逃げるべきなのよ」
「そうした暴力には向かわないで」
「我慢しても駄目よ」
 それもというのだ。
「暴力に向かうだけの腕力がないのなら」
「逃げるべきなんだね」
「そうするべきなのよ」
「安全な場所にまで」
「危険からはね」
「そういうことだね」
「ええ、そして今の優花はね」
 女になっていく彼はというのだ。
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