第三章〜忍び寄る叡智〜 第45話
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5月3日――――
それから3週間。キーアの記憶は戻る気配もなく、その素性も、遊撃士協会の情報網に結局引っかかることはなかった。創立記念祭が終わり、市長選を数ヶ月後に控えてはいるが比較的落ち着いた日々の中………ロイドたちは彼女との生活に完全に馴染んでしまっており、日常的な業務にも復帰していた。またキーアも、日中はロイド達に仕事があるのを理解したようで、我儘も言わずに留守番しているのであった。そして―――
〜特務支援課〜
「ただいま〜。」
「帰ったぜ〜。」
「あ、かえってきた!おっかえりー!!」
ビル内に戻って来たロイドとランディの声を聞いたキーアは嬉しそうな表情で2階から駆け下りてロイドの身体に飛び込んだ。
「はは、いいタックルだ。おかえりキーア。いい子にしてたか?」
「うんー!ツァイトといっしょにちゃんとお留守番してたよ。としょかんの本も3さつ読んじゃった。」
苦笑しているロイドに尋ねられたキーアは嬉しそうな表情で答えた。
「へえ、そりゃ凄いな。」
「ふふ、子供向けの本とはいえ午前中に3冊も読んじゃうなんて。」
「やはりこの子はかなりの情報処理能力を持っているのではないかと………将来がすごく楽しみです。」
「うふふ、レン程じゃないけど中々の才能を持っているわね。」
「まったく、揃いも揃って親バカ連中だな。って、俺も人のことは言えねぇが。」
キーアを誉めているロイド達の様子にランディは溜息を吐いた後、苦笑していた。
「ふえー?それよりキーア、お腹がすいちゃった。昼ゴハンにしよー!」
「はは、そうだな。今日の当番は俺だけど、みんな、パスタでいいかな?」
「うん、いいわね。」
「レンもそれでいいと思うわ。」
「ロイドさんの料理でしたらわたしは何でも。」
「俺のは大盛りにしてくれや。」
「はは、了解。」
「ロイドがゴハン作るの?それじゃあキーアも手伝うー!」
ロイドが昼食を用意しようとしている事を知ったキーアは無邪気な笑顔を浮かべて手伝いを申し出た。
「キーアちゃん……料理なんてしたことあるの?」
「ひょっとして何か思い出したとか……?」
「さっき読んだ本のなかにコックさんが出てきたからー。つくってた料理がすごくおいしそーだったの。」
「ハハ、なるほどな。」
「まさに子供らしい理由ねぇ。」
「それじゃあ、せっかくだからキーアに手伝ってもらおうかな。」
「うん、れっつごー!」
その後ロイドはキーアと共にパスタを作り、仲間達と共に昼食を取り始めた。
「お、美味しい……これ、本当にキーアちゃんが作っちゃったの!?」
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