第24話「だいがく」
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=遼side=
―――ドスッ
...鈍い音が、響く。
ボウガンの矢が深くまで刺さって止まった時の音だ。
「...っつ....!」
「遼!」
声を漏らす俺に、胡桃が声を上げる。
「(危ねぇ...!)」
だが、別に俺が悠里を庇って刺さった訳じゃない。
刺さったのは、俺の持っていたバッグ。
武器だの食料だの、色々入っているからこれでも防げる訳だ。
そして...。
「ちっ...なにやって」
「動くな!!!」
バッグからすぐ取れるようにしておいたハンドガンを構え、何か言おうとしていた男に向けてそう叫ぶ。
「っ...!?」
「てめぇ....俺の仲間になにしやがる...!!」
...自分でも分かる程、キレていた。
「っ....。」
「動くなと言っただろ!!」
身じろぎしようとしたのを、もう一度叫ぶ事で止める。
「...どうして悠里を撃った。こいつは俺達とも、てめぇらとも同じ人間だ。」
「っ...あいつらじゃなくても、なりかけかもしれないだろ!!」
―――ダァン!!
「ひっ!?」
そいつの言葉に、反射的に銃を撃つ。もちろん、顔の横へと狙いは外してある。
...尤も、サプレッサーを付けていないから音がでかいがな。
「...よりにもよって悠里の事をそう言うのか...ふざけるなよ?」
今まで、親父以外に向けた事のない殺気を、そいつにぶつける。
「...行くぞ。こんな所、いられるか。」
俺は皆にそう声をかける。
...蘭は俺と同じように敵意をあいつに向けているが、皆は戸惑っているようだ。
「...ああそうだ。背後から狙ってみろ。」
「その時は、覚悟しなよ?」
手で皆に行くように示しながら、そいつに警告しておく。
...まぁ、殺気であんなに震えてちゃ、できそうにないが。
「....ん?」
「...どうしたの?遼。」
「いや、少し視線が...気のせいか?」
去り際、建物の方から二つ視線を感じたが、片方はすぐに消えてしまった。
大方、生き残りが俺らを見ていただけだろう。
「さて、これからどうするかだが...。」
さっきのでだいぶ参った悠里を車内で寝かせておき、俺はそう言う。
「大学に生き残りがいる以上、拠点にするには申し分ない環境だろう。」
「...けど、あれじゃあ...。」
美紀がさっきの事を思い出すように言う。
「まぁ、当然だな。あんなやり取りの後じゃ、どっちにしても気まずい。」
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