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もてないのがいい
6部分:第六章
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。今からな」
「踊ろう。音楽がはじまったら」
 こうしてだった。二人はようやく一緒になった。そのダンスの後でだ。
 未来はだ。こう周囲に漏らしたのだった。
「ずっと。はらはらしてたの」
「はらはら?」
「はらはらっていうと?」
「柴崎君に誰かが声をかけないかって」
 漏らしたのはこの言葉だった。
「ずっと心配してたの」
「あれっ、未来もなの」
「そうだったの」
「だって。あの外見じゃない。書道部のホープだし」
「だからだっていうのね」
「彼に声をかける女の子がいるかどうかって思って」
「それでずっと怖かったのよ」
 こう話していく。周りの女友達に対して。
「もてなかったらいいのにって。思ってたわよ」
「それなら早く告白すればよかったのに」
「自分から」
「できなくて。どうしても」
 顔を真っ赤にさせて言う未来だった。
「それはどうしてもね」
「やれやれ。未来も未来で」
「そんなこと考えてたのね」
「柴崎君と同じく」
「けれどよかったわ」
 真っ赤にさせた顔を。ほっとさせて。
 そしてだった。今度はこう言う未来だった。
「これで柴崎君と一緒にね」
「いられるのよ。おめでとう」
「何はともあれね」
「そうなのよね。夢みたいよ」
 未来も未来で言うのだった。
「柴崎君とキャンプファイアーで一緒にいられる様になって」
「後は二人で頑張りなさい」
「いいわね」
「ええ。頑張るわ」
 心からの笑顔で言った。達央も未来もだった。
 二人共同じことを考え同じ心配をしていたのだった。こんな両思いもあるのだった。


もてないのがいい   完


                    2011・12・4

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