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忘れ形見の孫娘たち
6.お別れをしに来たんじゃない
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「あなたにも感謝しています。ひこざえもん提督にお別れを言える機会をくれて……あの人の自慢であったあなたに、あの人の自慢だった私たちを見てもらう機会をくれて、本当にありがとうございます」

 そう言って、やっぱり頭を下げていた。やっべ。なんかすんごく胸が熱い。もはや存在がギャグだった爺様絡みの話のはずなのに、なんだこの胸にこみ上げる熱いものは。

 頭を上げた加賀さんは仏壇の方に向き直り、瑞鶴さんはそんな加賀さんを涙目で見つめ続けていた。

「ひこざえもん提督……あなた、いつも『五航戦も頑張ってるんだから』って言って私を諌めてたわね。これが答えよ。私は五航戦・瑞鶴を認めているわ。私たちの後を継ぐのはこの子たちしかいない」
「一航戦……」
「今日はいい日になったわ。あなたにそれを伝えることが出来て、あなたの望みを叶えることが出来た……あなたの孫に、私が一番信頼している子を見てもらうことが出来た」
「提督さんは……気付いてたよ」
「……?」
「……提督さんね。いつも私に言ってた。“あいつもお前たちの事を認めてるからこそ厳しいんだ”って言ってたんだ……」
「そうだったの……ひこざえもん提督……あなたは全部お見通しだったのね……」
「うん……でも私……ひぐっ……全然聞かなくて……いっつもあんたに悪態ばっかりついて……ひぐっ」

 なんだかほんわかしたいい雰囲気になってきた。僕は改めて、鈴谷のそばに移動して……

「鈴谷」
「ん?」
「外に出よう」
「そだね。鈴谷たち、お邪魔になっちゃうね」

 鈴谷と一緒に部屋を出た。

「ただいま〜しこたま肉買ってきたから今晩はやきに……うおなんだこのデカい靴?」
「あらホント……」

 タイミング良く仕事から帰ってきた父ちゃんと買い物から帰ってきた母ちゃんが玄関に入ってきたその直後、和室から盛大な泣き声が聞こえてきた。

『うわぁあああんていとくさんごめんなさいぃぃぃぃぃ!』
「ぉおッ?! 何事っ?」
「今日も誰か来てるの?」
「んー……まぁ、ね」
『あ゛だじぃぃいい!! ごれ゛がら゛い゛っごう゛ぜん゛どな゛がよ゛ぐずる゛がら゛ぁぁああああ!!!』
「な、なんかスゴいな……」
『い゛っごう゛ぜん゛ごめ゛ん゛な゛ざい゛ぃぃいいいいい!!』
「鈴谷ちゃんの知り合い?」
「そうだよー」

 あんな叫び声が聴こえたら、流石に父ちゃんと母ちゃんも困惑するだろうなぁ……鈴谷を見ると、僕と同じく苦笑いをしながらこちらを見ていた。きっと鈴谷も、僕と同じことを考えているんだろう。

 その後は父ちゃんかあちゃんが買ってきた肉を使って、鈴谷と加賀さん瑞鶴さんコンビも交えて焼き肉パーティーとなった。瑞鶴さんは最初遠慮していたのだが……

「ひこざえもん提督の実家で
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