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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八話 両軍接触
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ンラーデ、トラーバッハ、そしてシャンタウ……」
「ラップ少佐の言う通りだ。敵が別働隊を用意する可能性もある。その場合、ざっと二十日はかかるだろうね」
「八月の二十四日から二十五日にはシャンタウ星域に着くというわけですね」
「そうなる」
私とラップの会話に皆の表情が更に青ざめた。同盟は二十万を超える敵を一戦で打ち破るか、各個撃破しなければならなくなった。
「総司令部は本当に各個撃破が可能だと考えているのでしょうか?」
「……」
ムライ参謀長の言葉に誰も答えない、私も答えられない。総司令部は勝てると判断しているのではあるまい。勝てると盲信しているだけだ。九個艦隊を動かした事が総司令部を退けなくしている。
あの馬鹿げた噂、ローエングラム伯は無能でヴァレンシュタイン司令長官は経験が無いという馬鹿げた噂に縋っているのだろう。
司令部に意見を具申しよう。このままでは敵の思う壺だ。ビュコック、ウランフ、ボロディン、そして私。四人の連名で総司令部に意見具申をする。出兵している司令官のほぼ半数が危険を訴えるのだ。
総司令部も少しは考えてくれるだろう。それにグリーンヒル総参謀長ならこの危険が判っているはずだ、きっとこちらの意見を支持してくれるに違いない。グリーンヒル中尉をみすみす死地に追いやるような事はしないだろう。
最悪の場合、撤退は無理でも進撃するのではなく、何処かの星系で待ち受ける形に出来ないだろうか。それだけでも敵の思惑を外せる。かなり違うはずだ。
帝国暦 487年8月14日 シャンタウ星系 帝国軍 ローエングラム艦隊旗艦ブリュンヒルト ラインハルト・フォン・ローエングラム
そろそろ敵と出会う頃だろう、そう思うと心地よい緊張が全身を包む。イゼルローン要塞陥落後、正直に言えば二度と戦場に立つ事はないだろうと覚悟した。だがこうして大艦隊を率いて雪辱の機会を得ている。
無理をすることなく勝てるだろう。これから始まる戦いに俺は何の不安も持っていない。唯一不安が有るとすれば敵が逃げてしまうのではないかという事だ。
もっともヴァレンシュタインによれば敵は退きたくても退けない状況になっているそうだ。九個艦隊を動員したことが敵を退けなくしていると彼は見ている。
今回の戦いで俺のなすべき事は勝つ事。自分が決して飾り物の副司令長官ではないと皆に認めさせる事だ。
今の俺は、ヴァレンシュタインの副将でしかない。リヒテンラーデ侯、エーレンベルク、シュタインホフ両元帥の態度を見れば分る。それだけではない、フェザーンも反乱軍も俺を認めてはいない。
少しずつ自分を周囲に認めさせなければならない。特にヴァレンシュタイン、彼に俺を認めさせる。彼は俺に十一個艦隊を率いさせてくれる、それなりに俺を信
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