暁 〜小説投稿サイト〜
占い中毒 〜占いにハマる女たち〜
症例1 ヘビーユーザー星野様
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相談者が最近増えてましてね…。

また、一日に何度も電話してくるお客様も厄介です。
結局、自分が求めている言葉が聞けるまで、
いつまでも占い結果を受け入れようとはしないのです。
事務所でも話題のヘビーユーザーはなんと、
アメリカ在住の女性で、あちらでは有名なヨガの先生。
一日に3〜5回も国際電話をかけてきます。
ですから、彼女の年間の利用料は一千万円を軽く超えています。
電話代だけでも相当なものでしょう。
カードが利用限度額を超えると、新たなカードを作ってまで
彼女は占いをやめようとはしません。
会社にとってはありがたいお客様ですが、
ここまで来るとさすがに哀れというか、
やはり病的な依存症としか思えません。

あ、受付がスタートした早々に、
その彼女から電話が掛かってきたようですよ…。
「もしもし〜、あのう〜、凛花先生はいらっしゃる?」
「星野様、いつもご利用ありがとうございます。」
名乗らずとも語尾を伸ばす独特な口調で、
職員なら彼女が誰だかすぐにわかります。
「ああ…、申し訳ないのですが先生は只今占い中でございます。」
実は、星野様とお繋ぎしないよう、凛花先生に言われているのです…。
きっと前回、星野様に余程手を焼かれたのでしょう。
そういった場合は顧客データに『○○先生NG』と書かれてしまうのです。
「あ〜、そう〜。じゃあ唯一神(ゆいか)先生は〜?」
「はい、唯一神先生でしたらお繋ぎできます。」
「あ〜そう〜。じゃお願〜い。支払いはビザカードで。」
「かしこまりました。では設定致しますので、
 3分後にお掛け直しいただけますか。」
「うん、わかった〜。ありがとう〜。」
普通はここで、掛けていただく番号の末尾をお伝えするのですが、
星野様は末尾1番の電話機と決まっています。
国際電話の割引サービスをご利用されていて、
予め末尾1番の電話番号を電話会社に登録されているからです。
会話を横で聞いていた別の職員がPC画面の最上欄、
つまり私の電話番号が入力された欄にチェックを入れます。
そして、末尾1番の電話機の転送ボタンを押せば、
これで、再びお客様から掛かってきた電話が
私に直通で繋がるという仕組みです。
午前待機の先生は私を含め全部で5名。
ちなみに、占い師は北海道から九州まで全国におります。
みな、母が直に面接して雇った信頼のおける占い師たちですよ。
先生方の担当する日時は決まっており、
お客様は会報やサイトで待機中の先生を確認することができます。
待機がスタートする5分前になると、各先生が在宅されているか
職員が確認の電話を入れます。
朝は特に要注意。寝坊常習犯の先生がいたり、
ドタキャンなんて事態もないわけではありません。
ついこの間も、待機直前だ
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