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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第4話『重なるイレギュラー』
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ったな、あの頃は」

 言いつつ岩から降り、出入り口付近の大地に向け屈み込む。刻まれた害獣避けの術式の具合を確認し──

「……磨耗しきって崩壊寸前、と。異常だな」

 本来これは獣が嫌う力を触れたものに送り込み、害を為す獣を弾き出す結界であり磨耗する事など殆どない。それが磨耗するという事はつまり、魔物が本能を無視してまでここに入ろうとしたか、それほど大量の魔物が此処を襲撃してきたかのどちら。どちらにしてもあり得る事ではない。
 つまりは。

「……何者かに狙われてる。もしくは何かしらそうなる原因をあの子が持ってる。……って事か?厄介な」

 そうなるとまた面倒な仕事が増える。再度大きな溜息を吐きつつ、結界を貼り直して二人の元に戻る。

「……どうだった?」

「……アウト。やっぱこの子何かしら狙われてる、人間以外の何かに」

 声を潜めて返す。あまり彼女を警戒させたくないのもあるが、普段の彼女の様子のせいかどちらかと言えば不安がらせたくない、が大きい。あまりに純粋な彼女の姿はまるで子供の様で、魔族に感情移入してはならないとは分かっていても、何か感じるものが無いとも言い切れない。
 神殺し曰く『お前は肝心な所で甘いんだ』などと言われたりもしたが、今回ばかりは否定しきれない部分もある。

「……このまま狙われ続けたらロクに観察も出来ないし……っていうかそろそろ名前あった方が良いよな、物凄い呼びにくいんだが」

「知らないわよそんなの。自慢じゃないけど、私に名付けスキルとか期待してるなら間違いよ。私そういうセンス全く無いから」

「ホントに自慢じゃないな……」

「うるさい」

「あいてっ」

 即座に飛んできた拳に腹を小突かれ、大袈裟に仰け反ったふりをする。メイリアは相変わらずジト目でジークを睨みつけており、その視線から逃れる様にジークは白髪の少女の下へ歩み寄った。
 さて、問題の名前はどうしたものか。当然ジークに凝った名前を付けるスキルなどないので安直な名前になる事は必至だが、どうせなら可愛らしい名前の方が本人も喜ぶだろう。簡単なルーンの意味から見つけてくるか、本人の特徴から持ってくるか、どうすべきか迷う。

「……ぃ、……ぅ?」

「ん、ああいや。君の名前、どうしたものかなってね。名前分からないままじゃ不便だろ?」

「……ぁ、ぁ……ぇ?」

『名前?』と言いたかったのだろうか、少々首を傾げてやっとその意味を飲み込んだらしく、目を丸くする。
 キョロキョロと辺りを見回し、手頃な石を手に取って、付近の壁に擦り付けて文字を刻む。


 ──Wなまえ つけてくれるの?W──


 期待を孕んだような視線を向ける少女に向けて頷くと、その顔をぱぁっと明るくする。いつもの幸せそ
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