暁 〜小説投稿サイト〜
忘れ形見の孫娘たち
5.脳を溶かしてくる系女子
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 世の中には、異性の寵愛を一身に受けるために生まれてきたとしか思えないような人が一定数存在する。これは、男女年齢問わず存在する。自分が見える範囲の世界でも、必ず一人は存在する。異性の心を鷲掴みにする人間というものは、いつの時代にでも必ず一人は存在するものだ。

「はじめまして。練習巡洋艦の鹿島といいます。ひこざえもん提督には、いつもお世話になっていました」
「鹿島さんは鈴谷みたいな鎮守府に来たばかりの子の面倒を見てくれる人なんだよ!」
「……」
「和之さん?」
「おーい。かずゆきー?」

 白状する。僕は鹿島さんの声を聞いて、脳が溶けた。

「……」
「どうしたの?」
「かーずーゆーきぃぃいいい?」
「……はッ?!」
「どうかしたの?」
「あ、いや……」

 あぶねー……ゲームのキャラの方の声もやばかったが……この鹿島のコスプレをしている鹿島さんの声は恐らくそれ以上……声を聞いただけで意識が別次元に飛んでいきそうだ……

「鈴谷」
「ん?」
「お前、明日から随伴役を鹿島さんと変わってくれ」
「なんでっ?!」
「……?」

 アカン。あまりの鹿島さんの声の破壊力に、僕の口が僕の意識の制御を離れて欲求を忠実に言葉にしている……。

「ダメダメ。鹿島さんはみんなの演習を仕切らなきゃいけない忙しい人なんだから」
「そういうわけでごめんなさい」

 鈴谷の言葉を受けて、鹿島さんは僕に対して頭をふわりと下げた。……うーん……この、ドSっぽい外見なのに女の子らしいふわりとした柔らかい性格……そして何より別の意味での最終兵器なその声……

「でも和之さんの気持ちはうれしかった……」
「……」
「和之さん……」
「……」
「……ありがと」
「……?!」

 アカン。気をしっかり持たないと、意識が持って行かれる……。

「ちょっとー。鈴谷はシカトですかー?」
「なにムスッとしてんだよ」
「そらぁ誰だってムスッてするでしょー」
「くすっ……さ、そろそろひこざえもん提督に挨拶をさせてください和之さん」

 ああ……いいよ……この『和之さん』て言い方……いい……

「?」

 これ以上はヤバいと鈴谷は判断したらしく、僕の手を引いて鹿島さんと共に奥の和室に案内してくれた。もう何回もここにきてる鈴谷は、家の構造をかなり把握している。本人からしてみれば家主同然の意識なのだろう。

「ほら鹿島さん。ここが提督の部屋だよ」

 相変わらず脳が溶けてぽやんぽやんして、案内役としてまったく使い物になってない僕を差し置いて、鈴谷が鹿島さんにそう説明していた。

「ここが……提督さんの……」
「鹿島さん……大丈夫?」
「大丈夫。覚悟はしてきました。開けてください」

 鹿島さんの眼差
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