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八神家の養父切嗣
五十五話:蘇り
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したのだろう」
「いいように扱われるのは気に入らないか?」
「ああ、気に入らん。気に入らんが―――地上を守るためだ。しのごの言っておられん」

 どこか清々しさのある顔でレジアスはぼやく。始まりは皆同じだ。子供の頃に誰もが正義の味方に憧れた。だが、大人になっていくにつれて理由をつけて諦めていく。望まぬ悪事に手を染めて仕方がないのだと自信を正当化する。しかし、心には常に後ろめたさが付きまとう。

 特にレジアスはそれが顕著であった。大人になっても正義を追ってその過程で歪んだ。だからこそ、弱者を守るという本物の正義の味方としてこうして立っていることに喜びが隠せない。それはきっと正しいことではないだろう。誰かが不幸になれなければこの機会は得られなかったのだから。だが、しかし。この胸に湧き上がる誰かを救いたいという想いに間違いはないはずだ。

「そうだな……。せめてもの罪滅ぼしだ、この身が滅ぶまで地上の為に剣を振るおう」
「頼むぞ。儂は他の部隊の指揮に向かう」
「達者でな。我が友」
「……ああ。悔いは残すなよ、親友」

 最後の言葉を交わし二人は背を向ける。ゼストに残された時間は残り僅かしかない。故にこの戦いが終わった後に生きていることはないだろう。だが、彼は最後のその時間を己の騎士としての名誉ある死ではなくかつて守ろうとしてきた者達のために使うことに決めた。その美しい決断を友である自分が汚すわけにはいかない。

「地上の平和を守る。……ああ、それだけのことではないか」

 自分は一体何を迷っていたのだろうかと過去の行いを悔やみながらレジアスは駆け出す。今度こそは守るべきものを見失わないように。





「主はやて、配置の交代に参りました」
「わざわざありがとうな、シグナム。今からシグナム二尉が私の代わりにここの防衛に入ります。知っての通り実力は折り紙付きや! 上手く使いこなしたってや!」

 ゆりかご周囲に飛び回るガジェットを撃ち落としていたはやての元にシグナムとツヴァイが訪れる。それを見るや否やはやては指揮権の引継ぎを行っていく。その様は大人びているようでどこか浮足立っている子供を思わせるような不思議なアンバランスさを持っていた。

「リイン、お前は主と共に向かえ」
「でも、大丈夫ですか?」
「案ずるな。私は弱くはない。それに、アギトもいるからな」

 そのセリフに背中に隠れていたアギトが現れる。彼女は今はゼストの元を離れてシグナムに付いてきていた。最初はゼストに付いていくと言ってきかなかったがシグナムとのシンクロの相性の良さを見抜いていたゼストに説得されてこうしてついてきたのだ。

「旦那の願いだから仕方なく付いてきてやっただけだかんな。府抜けた戦いをするんなら見放してやるからな!」
「あ
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