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魔王に直々に滅ぼされた彼女はゾンビ化して世界を救うそうです
第3話『不穏な陽炎』
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の町に来て直ぐに知り合った−−酷く一方的な知り合い方ではあったが、兎にも角にも友人となった少女である。
 魔法使いを自称してはいるものの、とある事情のせいで魔法が制御出来ず暴発してしまい、魔法使いとしては落ちこぼれの部類に入るのだろう。

 が、そのお陰か上昇志向は強く、以前からジークの魔族退治に同行を申し出ていた。……まぁ、その度にジークからは断られているのだが。

「れ、練習の為なのっ!」

「練習で本番相手に挑む奴があるか!……しかも魔法使い単独じゃ魔族に相性悪いのは知ってるだろ?詠唱中に食われて終わりだ」

「うぐ……っ」

「それに、何にせよ『想定外』はある。もし挑んだ魔族が思った以上に強くて、俺が動けない間にお前が殺られるとか御免だぞ俺は」

「それは……その」

 目を逸らして頬を掻く仕草を見る限り、反論は無いらしい。
 努力家なのは良いことだが、それで命を落としては元も子もない。一生懸命と無謀は違う。たった一度の戦闘経験すら無く魔族と戦うなど、自殺行為に等しい事なのだ。

 −−まあ、あの少女と出会っていたとしても、怪我をしたとは思えないが。

「……ああ。それなら、今日ついて来るか?悪いけど戦闘は無いんだが、まあ死徒がどんなもんか見る位なら良いだろ」

「ホントにっ!?」

「くぺっ!?」

 それまでのバツの悪い表情は一転、目を輝かせて飛びついてくる。
 メイリアがジークの服の襟を掴みブンブンと揺すりにかかる。無意識だろうが、揺すられ、引っ張られた服で首が絞められる方のジークの顔色は着実に悪くなっていく。ジークがポンポンとその手を叩きギブアップの意を伝えようとするも、メイリアに伝わった様子はない。

「ぎ、ギブっ、ギブっ……!ほ、ホントに連れてくから……っ、この手を……はな……せっ……!死ぬ……っ」

「ぁ、あぁゴメンっ!」

 慌てた様子で襟を掴んでいた手が解かれ、解放された喉から酸素を取り込む。メイリアが苦笑いを浮かべながら頭を掻き、その反応にジークが溜息を吐いた。

「……とりあえず、そこから退いてくれるか?動けないし、何より周りの視線が痛い」

「へ?」

 ジークがその濃紺の瞳を辺りに向け、メイリアもそれに続き辺りを見回す。
 殆どは見て見ぬフリをしているがチラチラとこちらを見ているのは分かるし、何名かに至っては立ち止まって煽るように口笛を吹いていた。何事かとメイリアがジークに視線で問いかけると、ジークは呆れ顔で口を開く。

「……お前な。今の自分の状況見て、俺らの性別考えてみろよ」

 今の状況を、客観的に整理する。
 膝蹴りをジークに叩き込み、ジークが倒れ込んだところに間髪入れず胸倉を掴みに行ったメイリアだが、即行動に移した故に直線距離
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