外伝
外伝《絶剣の弟子》F
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朝目覚めた瞬間から、意識がはっきりとしていた。昼間となんら変わらぬ程頭はスッキリしている。故に、昨日の出来事はつい先程のことのようにはっきりと思い出すことが出来た。
「……12時、だっけ」
今の時刻は午前9時。ゆっくり準備しても遅刻することはまず無いだろう。
夏に入りかけの地味に暖かい気温の所為で少し汗を掻いていた。出掛けた先で初対面の人に会うのだから、1度シャワーを浴びる必要がある。
電気ポットで湯を沸かしている間に浴室へ行き、蛇口を捻る。最初に出る冷たい水で顔を洗い、暖かくなったところで全身に水を浴びた。その間、思考は再び昨日のことに飛んでいく。あの後、緊張しながら《オラトリオ・オーケストラ》のギルドホームに行った俺はとてつも無く大変なことに巻き込まれていることを知った。
あの、PKに襲われた夜。どうやらあの時PKから逃げ切ってしまったのが事の発端らしく、俺は《狩猟大会》というPKプレイヤーたちの非公式大会の賞金首になっているらしい。昨日あの場にPKプレイヤーたちが現れたのも、どうやら俺の目撃情報を追っていて、その過程でノームのPK対策の為の正規軍と運悪く遭遇してしまい、交戦状態になってしまったようだ。
結果、ノーム側は損害を被り、PKプレイヤーたちも獲物を取り逃がすという事になり、誰も得しなかった訳だ。
その話を聞いた時の他の面々の反応は様々だったが、一様なのはご愁傷様という空気だった。確かに、これはどうしようもない。正規軍すら脅かす数のPKプレイヤーたちが襲って来るのなら例え、《オラトリオ・オーケストラ》で匿ってもらうとしても対処は難しい。いっそ、1度狩られてしまえば問題は解決するのだが、そんな気にはならなかった。
ALOにおける死亡罰則は残り火状態の時、一定時間経っても蘇生されない場合に課せられる。各種スキル熟練度の減少、アイテム、装備品のランダムドロップ、セーブ地点への死に戻り等があり、それはつまりそれまで費やして来た時間が失われるということである。俺はこのペナルティが俺が費やした時間だけでなく、協力してくれたユウキさんたちの時間も消してしまうように感じ、今まで必死にできるだけこれを受けないようやって来た。
つまり、今回のこれに『一度死んでやる』ということは、より罪深いことではないかと考えた。
となると騒動が落ち着くまでALOではあまり遊ばず、入ったとしてもインプ領に引きこもるしかない。ただ、インプ領でも同じインプのPKプレイヤーは入って来れてしまう。
これは大人しくしばらくの間ALOでは遊ばないことに、と考えた時、ユウキさんが良い方法があるといって満面の笑みを浮かべた。
俺は、驚くと共に凄まじく嫌な予感がしてい
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