第十五話 変わる為にその一
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第十五話 変わる為に
優花の身体は朝起きる度に変わっていっていた、少なくとも優花自身は深く感じる様になっていた。それでだった。
学校でもだ、龍馬にいつも言っていた。
「今日もね」
「身体が変わってきているんだな」
「もう喉仏もね」
「ああ、なくなってるな」
完全にだ、龍馬は優花のその喉を見て言った。
「前からあまりなかったけれどな」
「今はね」
「完全になくなったな」
「そうだよね」
「他のところもな」
「もう身体全体がね」
喉だけでなくというのだ、二人は今は校舎の屋上にいるがそこで話している。空は青く透き通る様な奇麗さだ。
「変わっていっていて」
「そうだな、もうな」
「僕もう止まらないっていうか」
「女の子にだな」
「なっていってるよ」
こう龍馬に話した。
「本当にね」
「そうだな」
「うん、だからね」
それでというのだ。
「姉さんも言ってるんだ」
「転校するんだな」
「高校にいる間はね」
優花はこれからのことを龍馬に話した、この日も。
「もう僕神戸にはいないよ」
「別の場所でか」
「女の子になってね」
「それでだな」
「うん、皆が僕のことを忘れてね」
「ほとぼりが冷めるか」
「そうなってから」
まさにだ、その時にというのだ。
「ここに戻るから」
「そうか、じゃあ大学に入る頃にか」
「多分名前変わってるよ」
優花は龍馬に話した、このことも。
「そして外見はね」
「もう完全にだな」
「変わってるから」
「そうなるんだな」
「何でも戸籍謄本とかね」
「ああ、あれな」
「そっちの問題もあるらしいけれど」
本籍等細かい個人情報が書かれている本だ、市町村や区の役場に置かれているが滅多に表に出されるものではない。
「変わるよ」
「誰も御前のことを知らないか」
「男だった頃の僕のことはね」
「そうなるんだな」
「うん、もうね」
それこそというのだ。
「そうなるよ、けれどね」
「俺はか」
「その時龍馬のところに来るからね」
「わかった」
龍馬は微笑んで優花に応えた、今二人は屋上のフェンスに身体をもたれかけさせて立って話をしている。龍馬は背中を、優花は前を。
「じゃあな」
「待ってくれるんだね」
「時々会いに行っていいか」
「高校にいる間も?」
「ああ、その間もか」
「来てくれるんだね」
優花は龍馬に顔を向けて問い返した。
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