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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第二十九話 ダンス、ダンス、ダンス!!なのです。
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名前は?」
「ミュラー。ナイトハルト・ミュラーです」
今度は目の前の女性が反応を起こした。信じられないような顔をして固まってしまったのだ。
「あ、あなたが、あの、その、あなたがナイトハルト・ミュラー提督なのですか?」
「提督?」
「あ、ううん、いいえ!ご、ごめんなさい!何でもありません!」
フィオーナは深々と一礼すると脱兎のごとく目の前から姿を消してしまった。あっとミュラーが声を上げた時には彼女の後ろ姿がバルコニーの角を曲がるのを認めただけだった。
「・・・・・・・」
彼はしばらく佇んでいたが、やがて重い足取りを家に向けた。その最中ふと気が付いた。あの女性が走り去っていった時、自分のハンカチを握りしめたままだったということを。
あれは永久にあの人の手の中にあるのだろうか、それとも返してくれるのだろうか、ミュラーははかない淡い期待をしたが、冷静な頭で考えると絶望しか出てこないのだった。
* * * * *
ロイエンタールはカウンター席から立ち上がった。十分とは言えないが、ここにこうしていても仕方がない。門限までには戻らなくてはならない。明日は非番だとはいえ、あまり深酒をするのはよろしくないだろう。
「きゃあっ!!」
自分の背中が何かにぶち当たるのを感じ、よろめいたロイエンタールはとっさに振り返っていた。一人の女性がしりもちをついて、顔に片手を当ててしかめている。
「いったぁ・・!!」
その女性は立ち上がった。長身のロイエンタールの胸元までしかないが顔立ちは非常に整っていた。それも勝気な風に。
「ちょっと!どういうつもりなの!?ぶつかっておいて、謝りもしないで!!」
「俺はぶつかった覚えなどないな。そちらが勝手に俺の背中にぶち当たってきたのではないか?」
「なんですって!?」
既に薄暗い店内にはあまり人がいないが、それでもにわかに沸き起こったこの騒動に皆目を丸くして見つめている。マスターと店員が露骨に顔をしかめる様子がロイエンタールの視界の隅に写った。
「それにだ、佐官に尉官が食って掛かるのは、統制上あまりよろしくはないと思うのだが」
「私だってもうすぐ少佐になるもの!あなたと同じよ!」
「ほう・・・・」
お前のようなじゃじゃ馬娘が少佐になるのか、と言いかけたロイエンタールの双眸がふと、一点で静止した。目の前の相手の瞳は、右が茶色、左が赤い色をしていたからだ。
「俺と同じか・・・・?しかも瞳の色が赤色だと・・・・?」
「えっ?」
目の前の相手はとっさに自分の左目に手を当てた。
「あ、ない!!」
ただでさえ白い顔が顔面蒼白になっていく。
「何!?」
「コンタクト・・・・落としちゃった・・・・。どうしよ
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