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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
49.邪竜葬礼の誓い
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で、何らかの方法を用いて冒険者のように成長している筈だ」
「成長する魔物………?そんなのアリか?」
「……闇派閥ではヨクアル話だ。わざと魔物に魔石ヲ貪ラセて強化し、怪物進呈(パスパレード)で押し付けル。時々失敗して自ラガ贄ニナルがな」
「……………黒竜の奴、魔石を喰って自分を強化してるってのかよ。成長期ですかこのやろー。更にデカくなってダンジョンの穴にギュウギュウに詰まっちまえばいいのに」
「やめとけ。ギュウギュウに避け場のないブレスが襲って来て、全員炭の柱になって立ち往生だ」

 ヴェルトールの希望的観測はあっさり蹴散らされた。確かに通路を埋め尽くすサイズの竜ならただ射程外からブレスを吐いているだけで全て迎撃できてしまう。かといって身軽なら弱いかと言うとそうではなく、その分の機動力を全力で活かして叩き潰しに来るだろう。そういえば、とココが質問を飛ばした。

「ねぇ、黒竜のブレスってヤバイの?」
「魔法の威力に換算するならレベル8オーバーの火力だ。当たったらそばから炭化するから死にたくなきゃ避けろ。避け損なったら死ね」
「『ね』っ!?『ぬ』じゃないのっ!?」

 ついでに言うとその黒竜のブレスを何発も喰らったであろうに生きているオーネストは一体何なんだろうか。体の何パーセントを炭化させたのか想像もしたくない。
 炭素硬化だ、とか言い出しても驚かないぞ。実はこいつ既に死んでてキョンシーなんじゃねえかと疑いたくなるところだが、オーネストは非常に残念なことに生身の人間である。これが生身の人間なら他の奴等全員ガラス細工か何かなんじゃねーのと疑いたくなる強度だが。
 取り留めもなく友人の人外加減を考えていると、オーネストと目線があった。

「確認するが――黒竜は俺達を『終わらせる』だけの理不尽が詰った文字通りの怪物だ。お前はそれも分かった上で、他の連中まで巻き込んであれと戦うというんだな?地上の煉獄に生きながら肺を焼かれる覚悟は?腕の骨が肉を巻き添えにバラバラになっていく感触を受け入れる覚悟は?マリネッタとリリルカを地上に置いたまま野垂れ死んで、めでたく塵の仲間入りする覚悟まで済ませているか?」
「いや、別にそこまで考えてないけど」
「…………」

 ぱかぁん、と顔面が跳ね上げられる。オーネストの居合拳だ。威力がない代わりに絶対避けられないように極限の速度を叩きだしている。衝撃で鼻の奥がむずむずして、くしゅん、とくしゃみが出る。くそう、不意打ちは卑怯だぞ。

「いきなり何すんだよ?」
「お前の軽挙妄動っぷりに殴りたくなっただけだ、気にするな、人間のクズ」
「お前もクズだろーが。クズじゃなけりゃリージュさんもココちゃんもここに連れてこないしメリージアのために引き返すことを打診する筈だ。でもお前はしないし、文句も言わない。つ
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