暁 〜小説投稿サイト〜
ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第11章 フェザーンへ 前編 
[5/16]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の…」
と泣き声交じりで私に訴えた
私は彼女をやさしく包み込んで
「僕は死なない。君がいる限り死ぬことはない
だから、いつも帰りを待っててくれ
この子と一緒に。」
と言って私とニコールの胸元でもぞもぞと寝返りを打つリリーを見ながら
その晩はニコールが離さないでほしいといったのでそのまま寝ることになった。
その時私は久しく忘れていた自分の帰りを待つ人の存在を実感した。

翌日、起きるとニコールはまだすやすや眠っていたが、シェパードのリリーは起きており私の腕をしきりになめていた。
私がクローゼットの中から軍服を取り出して着替えているとニコールがリリーをだっこして起きてきた。
なかなか絵になっていたことに驚いたが、見ているとどことなくほほえましかった。
その日から私はまたローゼンリッター連隊より出向という形で今度は中央情報局出向になっていた。
中央情報局はハイネセンポリス郊外のアルジェにある
私が当時住んでいた第4艦隊官舎地区からアルジェまではハイネセンポリス中心街を通過してさらに向こうなのでかれこれここから2時間近くかかる
ただ、初日であるので中央情報局出頭は9時でよいといわれていた。
ニコールの勤務するハイネセン同盟軍中央病院はハイネセンポリスのほぼ真ん中にある。
ここは一応軍の病院であるが一般人も利用可能である。
そのためハイネセンポリス中心で起きる救急はすべてここに回ってくることになっており、昼夜問わず大忙しであるという。
昨日が勤務日初日であったニコールであったがその日だけでも4時間に及ぶ手術を2件も担当したといっていた。
その4件とも交通事故によるものの救急手術であったそうだ。
しかし、そんなのを毎日やっていたら患者より医者のほうが先に死んでしまうので
ハイネセン同盟軍中央病院を含めた各中枢都市におかれる軍病院の医療従事軍人の休暇を含めた福利厚生はかなり充実していた。
ニコールはその日は当直はないと言っていたので早く帰ってこれるとのことであった。
一方で私は何時までかかるかわからない上に、中央情報局でどんなことがあるのかを詳しくは知らなかったので遅くなるとだけ伝えてあった。
そういうこともあり、リリーの世話は基本的にニコールが見ることになったが彼女は喜んで受け入れてくれた。
そのあと、一緒に朝食を作って、食べながらリリーにミルクをあげて、ニコールといつものキスを交わして私は家を出た。
普通の一般家庭で起きていることが私にとってはとても新鮮であった。
いつもは夜間当直の報告を起床後受けて、その後食堂へ行って適当に食べながら副中隊長のマックス・リューカス中尉とその日の訓練内容を確認しながら中隊室へ向かう。
作戦従事の最中はいつも気が抜けず交代で歩哨に立ち、敵襲があればトマホークをふるい、夜間作戦で
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ