第11章 フェザーンへ 前編
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と声をかけられる
びっくりして振り向くとニコールがいた。
ニコールと私はエル・ファシル掃討作戦後から同じ官舎に住んでいた。
士官用官舎は申請さえあれば2人までなら住んでも構わないのであった。
私は彼女に事情を説明し、どうするかを話して、
結局
路肩においておくのもかわいそうだし、このままほっておくのもかわいそうだから、とりあえず家に
ということになった。
毛布にくるんでそのシェパードを官舎に入れてとりあえず何かあるといけないのでベッドの上でその日の夜は過ごさせることにした。
とりあえずシャワーで洗ってあげるとお湯が気持ち良かったのか桶の中でまたすやすや寝始めた。
それには思わず苦笑してしまったが暴れられるよりは良かった
しっかり体を拭いて新しい毛布にくるんで赤ちゃんを抱くようにして寝室に入った。
先にいたニコールが
「ちょっと貸して」
と言ってすやすや寝ているシェパードを持ってでこに持っていくのかと思ってみていたら、まさかの私とニコールの間においたのだ!
私は内心困惑したが、そのままベッドに入ってニコールと向き合うようにして体を横にした。
ニコールはシェパードをなでながら
「なんか子供みたいね。」
と言ってきた。
私は相槌を打ちながらも頭の中はこの犬をどうしようかで頭がいっぱいだった
ニコールは私の考えを見抜くのがうまい
なぜかは知らないが
今回も例外なく見抜かれ、どうするかをじっくり話し合うことになった
結局午前1時まで話して
このシェパードを飼うことになり、
名前はリリーになった
「リリー」は私とニコールにとっての共通の友人であり戦友であったリリー・ボールドウィン大尉からとってきた。
名付け親になったニコールが言うには思いついたように首をかしげる仕草がリリーに似ているからということであった。
リリー大尉は宇宙歴792年5月7日第5次イゼルローン攻略戦で戦死した。
ニコールとリリーは訓練課程が同じであったらしい。
もともとリリー自身通信兵であったが基礎訓練課程が同期で同じ訓練中隊にいたそうだ。
そうなると自然とヘンシェルの話になってしまう。
ヘンシェルは我々二人が生き残ったのですら奇跡に近いような戦場であった。
ニコールは話しているときにどんどん悲しそうな目になってきたのを見て私はいきなり申し訳なくなってしまった
そういうこともあって、ニコールの近くに行って抱き寄せた。
すると、ニコールはこらえきれなかったように泣き始めた
今にも途切れそうな声でニコールは
「本当に心配だったのよ
あなたのことが
毎日のようにテロ事件は起きてるし、戦死者報道は続くし
ローゼンリッター第3中隊戦死者数の中にあなたが入ってないかどうかが心配で
あのヘンシェルやイゼルローンを何度も想像してしまう
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