第11章 フェザーンへ 前編
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佐が座っていた。
一ミリもずれのない制服の着こなし
左胸につく略綬は私より少ないもののすべてに磨きがかかっていた。
部屋に入って敬礼すると
大佐は
「よく来たな。
今から貴官の今後半年限定の任務を通達する。」
といきなり本題に入ってきた。
言い出しの仕方も驚きだったが、もらった内容はさらにその上を行った
それは
「フェザーン駐在武官付情報将校を命ず」
であった。
情報戦自体は士官学校で学んだが、情報戦の本論は学んだことはなかった。
私がぽかんとしていると
大佐は
「今年度の軍の方針で陸戦部隊士官数名を選抜して特殊作戦・情報戦研究をやらせることになった。
貴官はその一人に選ばれたのだ。
フェザーンでは中央情報局の主任情報官の指揮のもと実際の情報戦に従事してもらう。
フェザーン赴任までの2カ月は後期情報戦士官特修課程に入ることに貴官はなっている。」
私はその時点で納得した。
「後期」情報戦士官特修課程は中央情報局の暗殺部隊指揮官・特殊作戦コマンドの士官たちが受けるための課程であることはあまり表に出ていない
表に出ている(「前期」)情報士官特修課程は確かに情報士官を養成する過程であるが、後期課程はないものとされている。
しかし、うわさでは聞いていたし特殊作戦部隊にいればそれが存在することは当然耳にすることであった。
ということで、ムライ大佐のこまごまとした説明を聞かされ這う這うの体で統合作戦本部を脱出できた時には21時になっていた。朝の7時に出頭して、14時に人事部への出頭命令だったのに…
官舎へ帰った時には22時になっていた
自分の官舎の前に合った電灯の前で何かが箱に入ってもぞもぞ動いていた。
一見すれば何も驚くべきことではないのだが、エル・ファシル帰りの兵士にとっては箱はかなりの警戒心をあおる。
というのも、帝国軍ゲリラがよくとる攻撃方法として路肩に目立たないように箱やごみの中に即席爆弾を仕込んでいるという方法が多発していた。
私もその警戒心をあおられた一人であったことは言うまでもない。
思わずブラスターを引き抜いて接近する
そして、毛布に包まれた物体をブラスターでそっとそっとめくってみたものに私は面食らった
それは
子犬だった。
犬種はシェパード
寝息を立ててすやすや眠っていた。
箱を見ると手紙があった。
手紙にはかなり辛辣な現実が書いてあった
内容は詳しく覚えていないが、両親をエル・ファシルで亡くしたハイスクールの学生が引き取り先では飼うことができないので拾ってほしいということだったと思う。
私はそっとそのシェパードを毛布に包んだまま持ち上げて赤ちゃんをだっこするように持ち上げてみた
私の胸の前ですやすやと寝息を立てて寝ていた。
すると横からいきなり
「この子どうしたの?」
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