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英雄伝説〜菫の軌跡〜(零篇)
第33話
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「ふふ……成る程ね。」

一方ロイド達の様子を見て何かに気付いたワジは静かな笑みを浮かべた。

「成る程って……何の話だ?」

「”黒の競売会(シュバルツオークション)”………大方、その名前を知って調べに来たって所だろう?」

「っ……………」

「はあ………バレバレみたいだな。」

「という事は、あなたが出る訳ありのパーティーというのも………」

「ああ、その競売会さ。去年も別のマダムの付き添いで行ったから、2回目になるかな。」

「そうだったのか………」

「まさかこんな身近な所に知っている人がいたとは、思いませんでしたね……」

「クスクス、これが『灯台元暗し』って言うんでしょうね♪」

ワジの話を聞いたロイドとティオは疲れた表情で溜息を吐き、レンは小悪魔な笑みを浮かべていた。



「でも君達、その競売会を摘発するつもりなのかい?さすがに無茶だと思うけど。」

「いや……悔しいけど元より摘発するつもりはないさ。ただ、知っておきたかったんだ。クロスベルの歪みを象徴したような豪華絢爛な裏の社交パーティー……俺達が乗り越えるべき”壁”がどの程度のものであるのかを。」

意外そうな表情で尋ねて来たワジにロイドは溜息を吐いた後、真剣な表情で答えた。

「ロイド………」

「フフ………なるほどね。その意気込みは買うけどあいにく”競売会”には招待カードがないと入れないよ。毎年、違った薔薇のデザインで通しナンバーも入っているから偽造することも難しい………どうしようもないと思うんだけどねぇ。」

「それなんだけど……実は、カードは持っているんだ。」

興味ありげな表情で自分達を見つめて助言したワジにロイドは懐から薔薇のカードを出して見せた。



「へえ………どうやって手に入れたかを聞くのは野暮ってもんかな?」

カードを確認したワジは目を丸くした後、微笑みながらロイド達に尋ねた。

「ああ、事情があってね。」

「この招待カードだけど………身元の特定はされないのかしら?会員限定で、登録されている人しか入ることはできないとか………」

「いや、それはないと思うよ。裏の社交界的な側面があるから新規の客を歓迎しているみたいなんだ。盗品を扱っている以上、あえて身元を特定されたくない有力者も多いみたいだしね。」

「ふむ、だったら何とかなるかもしれねぇな。そういや、1枚の招待カードで何人まで入れるもんなんだ?」

「特に決まりはないみたいだけど………ただまあ、大抵は2人連れだね。5人連れで入るのは目立つからお勧めはできないよ。」

「なるほど……」

「……確かにそれは言えてるかもしれないわね。」

「そうね。家族で行ったとしても、せ
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