ターン50 鉄砲水と天王星の主
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い。質量を持って舞い上がるその足を片手で握りしめ、空いた手で無造作に地面の方を指さす。
「イーグル、お願い!今すぐ僕を下まで運んで!」
悠長に階段やエレベーターを使っている暇はない。僕の意図を察したイーグルの翼にぐっと力がこもり、ふわりと体が宙に浮く感覚に包まれる。次の瞬間にはすでに、猛スピードでの滑空が始まっていた。みるみる近くなってくる地面に半ば身を投げ出すように着地し、一定のスピードで動き続ける球体とアカデミアの中間地点に陣取って仁王立ちしつつ声を張り上げる。
「ちょっと待ったあ!これ以上アカデミアに近づくなら、僕が相手だ!」
これ見よがしに腕を掲げ、デュエルディスクを見せつける。この球体にもデュエルができるのだろうか。それはわからないが、なにせここはサンドモスですらデッキを持つ世界だ。そんな世界にいるんだから、きっとこいつも僕の見たことないカードの精霊兼デュエリストに違いない。それにしたってこんな手も足もないただの球体にまでそんな理論が通じるのかは1つの賭けだったが、どうやら僕の声は無事に届いたようだ。球体の前進がぴたりと止まり、その視線がすっと下にいる僕の方へ向く。ゾッとする冷たい目だ……だけど、こんな視線ごときにビビってなんかいられない。第一、幻魔皇ラビエルや邪神アバターが乗っ取ったフランツのように、もっと恐ろしい目だって見てきた経験が僕にはある。
「デュエルだよ、デュエル。僕が勝ったら、大人しく退いてもらうよ」
僕が負けたら?その疑問は、あえて口にはしない。最初から負けるつもりなんてさらさらないことを相手に見せつけ、少しでも精神的優位に立つ……交渉の基本だ。参考資料はチャクチャルさんの受け売りだけど。それにしてもこれ、どうやってデュエルするんだろう。デュエルディスクをつける腕も、カードを持つ指もないこの体では、とうていデュエルモンスターズなんてできそうにないけれど。
その疑問は、すぐに晴らされた。僕の目の前で砂がうねり、それ自体が生き物のように寄り集まって砂の巨人……不格好な、だけどサンドモスと同じ砂製のデュエルディスクをその左腕に装着した巨人の形になった。多分、このモンスターの膨大な力を砂に込めることで自在に砂を操っているのだろう。なら、こいつに勝てばそれでいい。単純な話だ。
「それじゃ、デュエルと洒落込もうかね」
目の前の名称不明な巨人も、のろのろとその腕を動かして自家製デュエルディスクを構える。その前にあのオレンジ色の奴は、と辺りを見回すと、僕らのデュエルを観賞しようとでもいうつもりなのか、特に動きもないまま離れた位置から対峙する僕らの方へ視線を向けているのが見えた。あの様子なら、とりあえずはデュエルに集中していても問題なさそうだ。
「デュエル!」
サンドモス戦の時
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